BlenderのNoise Textureはいい感じの模様を作ってくれるノードですが、いまいちちゃんと扱えてる気がしないので勉強がてら解説していきます。
自在に操れるようになると、金属のサビや塗装の汚し、色ムラなどの質感表現から、ジオメトリーノードでの動きの自然さなどがプロ級の腕前になるので、マスターしていきたいです。
この記事は、BlenderのNoise Textureの特性・パラメータについて知りたい中級者向けの記事です。
難易度
ノイズテクスチャの基本
Blenderの「ノイズテクスチャ(Noise Texture)」ノードは、フラクタル・パーリンノイズを計算するノードです。
これは、入力されたテクスチャ座標を基にノイズを生成し、単純なパーリンノイズの計算だけでなく、複数のオクターブ(細かいノイズの層)を組み合わせることもできます。
簡単にいうと?
- パーリンノイズとは、自然な流れを持ったノイズのこと。(雲や模様に使える)
- フラクタルは、基本のノイズを細かく分けて、さらに細かいディテールを加える手法。
- オクターブはノイズの細かさを調整するもので、多くするとより複雑な模様になる。
つまり、ノイズテクスチャを使えば、シンプルなボコボコした模様から、細かいリアルな模様まで作れるということ。
各パラメータについて
Noise Texture Nodeの各パラメータの説明です
Vector(ベクター)
- ノイズを計算する座標のこと。
- 何もつながなければ、「Generated」座標が使われる。(オブジェクトのローカル座標)
- Texture CoodinateやMapping、Vectorノードなどと接続されることが多い
W
- 「4D」ノイズモードのときに有効。
- これを変えると時間変化するようなノイズを作れる。
Scale(スケール)

- ノイズの基本的な大きさを決める。
- 値を大きくするとノイズのパターンが小さくなり、値を小さくするとノイズが大きく広がる。
Detail(ディテール)

- ノイズの細かさ(オクターブの数)を決める。
- 値が大きいほど細かく複雑なノイズになる。
オクターブ(Octave)とは?
ノイズの「オクターブ」というのは、ノイズを何層にも重ねる ことでより細かく複雑な模様を作るための考え方
オクターブの重なり
最初のオクターブは、単純な大きなうねりのあるノイズ
2つ目のオクターブは、さっきのノイズよりも小さいスケールのノイズを追加。
最初のノイズの上に、より細かい揺らぎを足していく感じ
3つ目のオクターブは、さらに細かいノイズ、
どんどん細かいノイズを足していくことで、リアルな質感が生まれる。
例えば、リアルな大理石の模様や雲のような質感は、こういう「大きな模様 + 細かい模様」の組み合わせでできている。
Roughness(ラフネス)

ノイズの滑らかさを調整。
ラフネスを調整すると何が変わるのか?
- ラフネスが低い(滑らか)
- ノイズが滑らかで緩やかな変化になります。
- 低いラフネスでは、ノイズのピーク(山)が丸くて滑らかになる感じ。
- モコモコした雲のような柔らかい感じが作れます。
- ラフネスが高い(粗い)
- ノイズの形状がシャープでギザギザになります。
- 高いラフネスでは、ノイズのピークが鋭くなり、不規則で荒い模様に変わります。
- 岩やザラザラした表面の質感を表現するのに向いています。
Lacunarity(ラキュナリティ)

各オクターブのスケールの変化率
ラキュナリティの影響
- ラキュナリティが高い → 高いオクターブ(細かいノイズ)は大きく、粗いノイズが多くなり、ディテールの強調。
- ラキュナリティが低い → オクターブごとのスケール差が小さくなり、全体的に滑らかなノイズになります。
Detailを0にすると、オクターブが1つだけ(または非常に少ないオクターブ)になり、その場合、ラキュナリティの効果はほぼ感じられません。
ラキュナリティ(Lacunarity)の日本語訳は、「空隙度(くうげきど)」や「隙間の度合い」
この言葉は、ノイズの中でどれくらい隙間があるか、または異なるオクターブ間でどれだけの「スケール差」があるかを示します。要するに、オクターブ同士の差を大きくすることで、ノイズの複雑さや変化の激しさをコントロールしています。
Detailで模様の細かさを上げたあとに、どのような細かさなのかを決める設定
Offset(オフセット)
各オクターブの位置をずらす。
オフセットの効果
- オフセットを大きくすると、ノイズの値が全体的に上にシフトされ、最終的にはノイズが白く(最大値)近づきます。
- オフセットを小さくすると、ノイズが下にシフトし、暗い部分(0に近い値)が強調され、ノイズが黒っぽく見えることがあります。
Gain(ゲイン)

Gain(ゲイン)は、ノイズの「強さ」を調整するパラメータ
ノイズの振幅(強さ)を制御して、ノイズがどれだけ目立つかを調整します。
これもDetailがある程度ないと、オクターブの層が少なくて変化しなくなります。
lacunarity(空隙度)→細かいノイズの大きさ、隙間を変化させる
gain(強度)→細かいノイズの濃さ、強さを変化させる
Distortion(ディストーション)

- ノイズをどれだけ歪ませるかを決める。
- 値を上げると、流れるような模様やゆがんだパターンを作れる。
NoiseのType
タイプ(Type)
ノイズの種類を選ぶもので、オクターブの組み合わせ方によって結果が異なります。
fBM(フラクタル・ブラウン運動)

- 特徴:均一で等方的な(全方向に同じ性質の)結果を生成します。オクターブからの値が加算されて合成されます。
粒子や分子が集合して動いてるような、液体、気体に使える気がします。(ブラウン運動という言葉を信じれば)

Multifractal(マルチフラクタル)

- 特徴:位置によって不均一で、実際の地形のように変化します。オクターブからの値が掛け算されて合成されます。
岩や山のような、不均一な、ランダムなノイズに適しています。サビとか浸食みたいな表現に向いているかもしれません。

Hybrid Multifractal(ハイブリッド・マルチフラクタル)


- 特徴:異なる粗さ(ラフネス)でピークと谷を作り出します。平坦な土地から山が立ち上がるような見た目に近いです。加算と掛け算を組み合わせてオクターブを合成します。
平坦な部分は滑らかで、山の部分だけ細かいディテールが増えるということらしいです。
地形っぽいというのでDisplacementで押し出して作ってみました↓

パターンとしてみると生命を感じるというか、細胞っぽい感じもします。
Ridged Multifractal(リッジド・マルチフラクタル)

- 特徴:鋭いピークを作ります。ノイズの絶対値を計算し、「峡谷」のような形を作り、表面を裏返します。
線のパターンがよく出てくるので、山の稜線、道、など何か線的な要素もある地形に適しているのかもしれない…。押し出してみました。↓


あとは「ひび」のような、線をともなった傷みたいなパターンとか。
木々のようなパターンにも見えたので、ゴッドレイの強さに使うと、木漏れ日のリアルな光に見えないかなと思いやってみました。
Hetero Terrain(ヘテロ・テレイン)

- 特徴:ハイブリッド・マルチフラクタルに似ており、異質な地形を作り出します
「川の流れのような模様」が出るとマニュアルにありますがそうは思わないというか、川っぽくないんですよね…。
水面にするとしても平坦の部分があるので難しいです。
表面についた水滴とかに使えるかもしれないです。地形に使うとしても、均一的すぎます。

調整できるパラメータが少なく、パターンが均一的に広がるので、ハイブリッド・マルチフラクタルやマルチフラクタルで代替できるし、このノードを使っていく意味が今はあまりわからないです。
Normalize fBM(fBM正規化)
有効にすると、出力の値が0.0から1.0の範囲に収まるように調整されます。無効にすると、範囲は-(Detail + 1) から Detail + 1まで広がります(Roughnessが1未満の場合はさらに小さくなる)。
用途:ノイズの値が特定の範囲に収まる必要がある場合に使用します。
例えば水面に使うときなど、平らな面をなくせたりできます。
まとめ
ノイズテクスチャの使用例のまとめ
ノイズタイプ | 特徴 | 主な表現例 |
---|---|---|
fBM (Fractal Brownian Motion) | 均一的、粒子や分子のゆらぎ | 液体・気体(水面、雲、煙) |
Multifractal | 不均一、ランダムなノイズ、浸食表現 | 岩・石、サビ、風化した表面 |
Hybrid Multifractal | 平坦な部分と細かいノイズの部分がある、高さによってノイズの影響が変わる | 地形・山、細胞っぽいパターン |
Ridged Multifractal | 線的なパターンとノイズ、谷や隆起を強調、光の影響にも使える | 渓谷、断層、神経網、血管、ひび、木漏れ日(光の強さ) |
Hetero Terrain | 高さによってノイズの影響が変わる、谷がつながりやすい | 水滴、点状のパターン、簡単な地形 |
難しいです。自分はこう思ったけど、人によってはもっと良い使い方ができると思うし、組み合わせて使うともっとリアルで面白いパターンが出てくると思います。
自分でパラメータを調節して実験していくしかないかもしれません。