エネルギーのアニメーション基礎:エネルギーの流れと形

アニメーション
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アニメでは、スピードが出ているときの形や、エネルギーを溜めているときの形、エネルギーを一気に放出したときの形などに、似たようなパターンが出てくることがあります。

「もしかして、アニメーションの形には、そのときのエネルギー状態が表れているのでは?」

こうして見てみると、エネルギーを溜める・放出する・減衰するといった変化に合わせて、形も変化しているように見えます。

ということで今回は、エネルギーの流れと、それを表現する形の関係について考えてみます。

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形の熱力学

アニメでは、目に見えないエネルギーの変化を、形の変化として描くことがあります。

例えば、何かを思いきり飛ばしたり、強く殴ったりするとき、実際には「エネルギー」が目に見えるわけではありません。

でもアニメでは、

  • 動く前に大きくタメる
  • 動く瞬間に形を伸ばす
  • スミアやブラーで勢いを表現する
  • 動いた後に髪や服が揺れる

といった形の変化によって、「大きな力が働いた」ことを見せることができます。

そこで今回は、エネルギーの蓄積・放出・その後の変化が、形にどのように表れるのかという視点から、アニメーションの形と動きを考えてみます。

エネルギーの流れ

この考え方のきっかけになったのが、車のエンジンのサイクルです。

エンジンには、

  • 吸気(吸入)
  • 圧縮
  • 燃焼(膨張)
  • 排気

という4つのサイクルがあります。

何か大きなエネルギーを放出するには、その前にエネルギーを溜めたり、放出するための準備をしたりする必要があります。

これをアニメーションの「形」にも当てはめて考えてみます。

もちろん、これはあくまでアニメーションを考えるための個人的な見方です。すべてのアニメーションに当てはまる法則というわけではありません。

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動いている絵と動いていない絵

アニメは、どの瞬間を切り取っても一枚の止まった絵です。
しかし、その一枚を見ただけでも、

「これは止まっている絵だな」
と感じるものと、
「これは今、ものすごい勢いで動いている途中だな」
と感じるものがあります。

例えば、キャラクターがゆっくり振り向いている途中の絵は、一枚だけ見ると「そのポーズで止まっているだけ」にも見えます。

一方で、勢いよくバットを振っている絵なら、腕が伸びたり、体がしなったり、スミアやブラー、スピード線などが入ったりすることで、一枚の絵だけでも「動いている」ことが伝わります。

つまり、アニメには、以下の2種類があります。

  • 動いていない絵…(動いてないように感じる絵)
  • 動いている絵…(動いているように感じる絵)

そして「動いている絵」をさらに分けると、

  • 動きの前
  • 動きの最中
  • 動いた後

という流れがあります。

  • 動いていない絵 → ポーズやシルエットによる静止
  • 動きの前 → タメ・予備動作
  • 動きの最中 → スミア・潰しと伸ばしなどによる変形
  • 動いた後 → フォロースルー・髪や服の揺れなど

❶動いてない絵

これは、形が比較的安定している状態です。例えば、

  • キャラクターの正面顔
  • 決めポーズ
  • 止め絵
  • ゆっくり歩いている途中の絵

などです。こうした絵では、何が描かれているのかを正確に伝えることが重要になります。
そのため、シルエットは読みやすく、形も大きく変形させないことが多いです。

❷ 動きの前 ― エネルギーを溜める

大きな動きをするときには、その直前に「タメ」を作ることがあります。例えば、

  • パンチを出す前に腕を引く
  • ジャンプする前にしゃがむ
  • バネが伸びる前に縮む

といった動きです。

これは、これから起こる動作に向けて準備している状態です。

そして面白いのが、大きな動きをするときほど、準備のために形そのものを大きく変形させることがあることです。

弓を引くときに弓が大きくしなったり、ゴムを引っ張るときに大きく伸びたりするように、アニメでも「これからどちらへ動くのか」を形そのもので表現できます。つまり、

これから向かう方向を、形にする。

ということです。

❸ 動きの最中 ― エネルギーを放出する

タメによって準備された動きが、一気に放出されます。このとき、形も大きく変化します。例えば、

  • 手足が伸びる
  • 体がしなる
  • スミアで形が伸びる
  • ブラーやスピード線が入る
  • 動きの軌跡が描かれる

といった表現です。

現実の世界では、エネルギーそのものを見ることはできません。
しかしアニメでは、エネルギーが放出されたことを、形の変化や軌跡として見せることができます。
動きが大きく、速いほど、その変化を強調するために形を大きく崩すことがあります。

❹ 動いた後 ― エネルギーの余韻

動作が終わったあとも、すべてがすぐに止まるわけではありません。例えば、

  • 髪が遅れて揺れる
  • 服が揺れる
  • 体が少し戻る
  • 物体がしなる
  • フォロースルーが起こる

といった動きがあります。

これも、直前まで起きていた大きな動きの「余韻」を形や動きとして見せていると考えることができます。

エネルギーと形の関係

ここまでをまとめると、
アニメでは、目に見えないエネルギーの変化を、形の変化として描くことができます。

  • エネルギーを溜めるときには、タメや圧縮によって形が変化する。
  • エネルギーを放出するときには、伸びやスミア、軌跡などによって動きを強調する。
  • そして動いた後には、髪や服の揺れなどによって、その動きの余韻を残す。

つまり、
エネルギーの流れを、形の変化として翻訳している
と考えることができます。

もちろん、これはすべてのアニメーションに当てはまる物理法則ではありません。
あくまで、アニメーションの「形」を考えるための一つの見方です。
しかし、この視点を持ってアニメーションを見ると、

「なぜここで形を潰すのか?」
「なぜここで伸ばすのか?」
「なぜこの瞬間だけスミアになるのか?」

といった表現を、エネルギーの流れから考えられるようになります。

そして、こうした意図的な変形は、一見すると形が崩れているように見えても、動きやエネルギーを伝えるために必要な「作画の誇張」になります。

これこそが、アニメーションならではの面白い表現の一つだと思います。

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エネルギー状態を表す5つの形

ここまでの話をもとに、実際のアニメーションを見ながら、エネルギーの蓄積や放出、消失などを表現するときに、どんな形が使われているのかをまとめてみました。

わかりやすくするために、形を「円・角・線・波・粒」の5つに分けています。

これは物理学的な分類ではなく、あくまでアニメーションを観察するための大まかなイメージです。

ハンターハンターぽくしてみたけど念とは何の関係もありません。

エネルギーを集める ― 円

エネルギーを一点に集めたり、全方向から中心に力を集めたりするときには、円や球のような形がよく使われます。

  • 丸い形
  • 球
  • 体を丸める
  • 中心に向かって力が集まる形

円は、エネルギーを中心に集中させている状態のイメージです。

エネルギーを方向づける ― 角

集めたエネルギーを特定の方向へ放出するためには、形を折り畳んだり、曲げたりすることがあります。

  • 手足を折り曲げる
  • 体を縮める
  • バネのように圧縮する
  • 弓を引くように形をしならせる

ここでは、エネルギーをただ溜めるだけでなく、どちらへ放出するのかを形にすることが重要です。

そのため、円のような丸い形から、角や「く」の字のような形へ変化していきます。

角は、エネルギーを折り畳み、方向づけている形と考えることができます。

エネルギーを放つ ― 線

エネルギーが一気に放出されると、形はその方向へ伸びていきます。

  • 手足が伸びる
  • 体が伸びる
  • スミアによって形が引き伸ばされる
  • スピード線や軌跡が生まれる

これは、集中していたエネルギーが一方向へ放出されている状態のイメージです。

そのため、形は円や角から、線のような形へ変化していきます。

全方向へエネルギーが放出される場合は、線ではなく円形の軌跡として表現されることもあります。

エネルギーの余韻 ― 波

エネルギーを放出したあとも、すぐに完全に静止するとは限りません。

  • 髪や服が揺れる
  • 体がしなる
  • 波打つ
  • 揺れがだんだん小さくなる

一方向へ放出された動きが、そのまま真っ直ぐ続くのではなく、揺らぎながら緩んでいく状態です。

そのため、形も線から波のような曲線へ変化していきます。

波は、放出されたエネルギーがまだ残っていて、揺らぎながら減衰している状態のイメージです。

エネルギーが散る ― 粒

最後に、エネルギーがさらに分散していくと、形は細かく分かれていきます。

  • 火花
  • 砂ぼこり
  • 水滴
  • 小さな破片
  • 粒子のような表現

ひとつにまとまっていたものがバラバラになり、やがて見えなくなっていく。

粒は、エネルギーが細かく分散し、消えていく状態のイメージです。

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エネルギーと形のまとめ

このように考えると、エネルギーの状態を表す形を、次の5つに大まかに分類できます。

形エネルギーの状態イメージ
円集中集める
角圧縮・方向づけ折る
線放出放つ
波揺らぎ・減衰緩む
粒分散・消散散る

時間の流れとして考えると、次のようになります。

円
 ↓ 集める
角
 ↓ 方向づける
線
 ↓ 放つ
波
 ↓ 緩む
粒
 ↓
消失

※もちろん、実際のアニメーションが必ずこの形になるわけでも順番になるわけでもありません。オリジナルな形で真四角にしてみたり、ずっと曲線で表すこともあります。円から始まらず、いきなり線になることもありますし、途中の形を飛ばすこともあります。これはあくまでも原則的な、一番わかりやすいと私が思った例だと思ってください。

ここで重要なのは、「エネルギーの状態が変化すると、それを表現するための形も変化することがある」ということです。

つまり、

集中 → 方向づけ → 放出 → 減衰 → 分散

というエネルギーの流れを、

円 → 角 → 線 → 波 → 粒

という形の変化として見ることができます。

このように考えると、アニメーションの形は単なる「見た目」ではなく、目に見えないエネルギーの流れを、視覚的に伝えるためのものとして見ることができます。

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エネルギー放出のアニメ

上の理論をもとにエネルギー放出のアニメを作ってみました。

円
 ↓ 集める
角
 ↓ 方向づける
線
 ↓ 放つ
波
 ↓ 緩む
粒
 ↓
消失

上のサイクルのままエネルギーを放出していきます。

  • 1フレーム…円形に近い形に集中してエネルギーを蓄積
  • 3、5フレーム…で下方向に凹みを作ってエネルギー放出の方向付け
  • 10フレーム…上方向に線状にエネルギーを放出
  • 14、17フレーム…エネルギー減少で波形に緩む
  • 20~29フレーム…エネルギーが散って粒になって消失する

フレームタイミングについて

基本的にはコマ落としアニメのようにしたいので3コマ打ちをベースにしています。エネルギー変化が大きくて形も大きく動くときはコマ数多めにしても割と大丈夫だと思ってます。(逆に速すぎると何が起こってるかわからないかもしれない)

その中でも、5フレームのエネルギーの溜め、10フレームのエネルギー放出に関してはさらにコマ数増やして、少し時間がかかっていることを表現しています。するとエネルギー放出したあとに揺らいで消失するときにパッとエネルギーが消失するような感じが出て気持ち良いリズムになると思います。

コマ落としアニメ
あえて2コマ打ち・3コマ打ちのようにフレームを保持し、滑らかすぎる動きを抑えて、カクッとしたメリハリのある動きを作る表現。

右動画:エネルギー放出のアニメーション動画です。

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キャラクターの動きとエネルギーのアニメ

キャラクターの動きに、エネルギー状態と形を応用させてアニメを作ってみました。

  • 1フレーム…静止
    キャラクターのアニメーションではときたま止めたフレームも入れて、キャラクターの表情やポーズなどを入れるといいと思う
  • 9、12フレーム…ウサギが進行方向反対に圧縮されたような形
  • 16フレーム…エネルギーの放出、大きく移動
  • 22フレーム…止まる、方向転換のための形
  • 27フレーム…静止
  • 32,35フレーム…エネルギー蓄積と方向付け
  • 39フレーム…エネルギー放出
  • 45~52フレーム…エネルギーが緩んで波線が出て、粒になって消失。
  • 以下エネルギーサイクルがランダムに繰り返し

エネルギー蓄積から消失までのサイクルを
集中 → 方向づけ → 放出 → 減衰 → 分散
と素直にたどっているのではなく、結構自由に動かしています。

ある程度サイクルが感じられれば、きちんとエネルギーが放出されて動いているように見えると思います。

キャラクターのウサギの形をエネルギー状態に応じて
円 、 角 、 線 、 波 、 粒
のように変形することで、メリハリがあって、エネルギー放出がわかりやすくなっていると思います。

右動画:キャラクターとエネルギーのアニメーション動画です。

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まとめ

今石洋之さんのアニメのように、形が大きく変化する絵が次々と連続していくアニメーションをよく観察してみると、そこにはエネルギーの状態の変化がうまく表現されていることがわかります。

エネルギーが蓄積され、方向づけられ、放出され、そして減衰していく。その流れがある程度自然につながっていれば、たとえ一見すると突拍子もない形の変化をしていても、「何かが動いている」と理解できるアニメーションになるのだと思います。

アニメーションを作っていて、

  • なんだか動きが不自然に見える
  • うまく動いているように感じられない
  • 気持ちよくエネルギーが放出されたように見えない

と感じたときは、前後の絵でエネルギーの状態がちゃんと変化しているかをチェックしてみるとよいかもしれません。

例えば、エネルギーを一気に放出したい場面なのに、線が大きく波打っていると、次に直線的な形を描いたフレームがあると、そっちのほうが「エネルギー放出している」ように見えてしまうことがあります。(※線の大きさや太さ、コマ数にもよるので必ずそう見えるというものではありません。)それぞれの形が、どんなエネルギーの状態を表しているのかを意識すると、動きのメリハリもつけやすくなります。

形をどう変形させるかだけでなく、その形がどんなエネルギーの状態を表しているのかを考えてみると、アニメーションの動きがまた違った角度から見えてくると思います。

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