Blender 5.2 LTSでは、コンポジター(Compositor)が大きく進化しました。
特にインタラクティブコンポジターの高速化やGeometry Nodesの機能追加、新ノードの追加など、日常的にコンポジターを使う人には嬉しいアップデートが数多く含まれています。
この記事では、主な新機能と、個人的に便利と思ったものを紹介します。
コンポジターがアニメーション再生に対応
Blender 5.2では、ビューポートでコンポジターの結果をリアルタイムに確認できる「インタラクティブコンポジター」が、アニメーション再生に対応しました。
タイムラインを再生しながらコンポジターのプレビューを確認できるため、アニメーションを見ながら色調補正やブラー、各種エフェクトを調整しやすくなっています。
また、ノードの処理も最適化され、インタラクティブコンポジター全体のレスポンスも向上しました。
個人的にも、動きを確認しながら編集できないことが理由でコンポジターをあまり使っていませんでしたが、このアップデートによってかなり使いやすくなったと感じています。
ノードギズモがさらに便利に
Elipas MaskやBox Maskノードなどで使える操作用のハンドルであるノードギズモがイメージエディタ上でも使えるようになりました。(右画像上)
さらにAuto Keying(自動キーフレーム)にも対応し、アニメーションしやすくなっています。
Blank Imageノードを追加
新しくBlank Imageノードが追加されました。(右画像真ん中)
このノードは、サイズと色を設定した空画像を生成できます。
活用例
- マスク作成
- ノイズ生成のベース
- テスト画像作成
- ノードグループの初期入力
などに利用できる超便利ノードです。
String To Imageノードを追加
文字列を画像として生成できるString To Imageノードが追加されました。(右画像真ん中)
- 文字アニメーション
- テキスト表示
- 文字マスク
などに使えます。特に文字アニメーションに使えることがめちゃくちゃ嬉しいです。今回追加されたString系ノードなどと組み合わせるとタイプライターアニメができたり、拡張性も広がっています。
※Alpha Overなどで重ねる場合はFactorに入力して使います。

Geometry Nodesのようなデータ操作が可能に
Blender 5.2では、コンポジターに大量の新しいノードやデータ型が追加され、大きく進化しました
特に注目したいのが、Geometry Nodesで使われているような考え方がコンポジターにも導入されたことです。
これまでのコンポジターは、基本的に「レンダリングされた画像を加工する場所」でした。しかし5.2では、Object、Camera、Matrix、Rotationなどの情報を直接扱えるようになり、3Dシーンの情報を利用した画像処理が可能になっています。
例えば、
- オブジェクト情報を取得する
- カメラとの位置関係を利用する
- 3D座標をスクリーン座標へ変換する
- 行列や回転情報を使って処理する
といった、Geometry Nodesに近いデータ操作がコンポジターでも行えるようになりました。
また、StringやFontなどのデータ型にも対応し、コンポジターが単なる画像加工ツールではなく、3Dシーンの情報と画像処理を組み合わせるためのノード環境へ進化しています。
Geometry Nodesを使っているユーザーにとっては、これまで3D空間で扱っていた考え方を、そのままピクセル処理の世界へ応用できるようになったと言えます。
追加された主なデータ型
- Matrix
- Rotation
- String
- Font
- Object
- Integer Vector
例:上の画像下でマトリクス(Matrix)ノードの使用例を載せています。マトリクスノードが使えるということは、座標変換を自由に組み立てられるようになったということです。Geometry Nodesのような考え方で画像を扱えるようになり、コンポジターの拡張性は一気に高まりました。
正直これはコンポジタ使用者にオススメはしませんが、マトリクス変換については右記事で解説しています。
また、アウトライナーからオブジェクトをドラッグ&ドロップしてノードへ追加できるようになりました。
Grease PencilがDepthパスに対応(EEVEE)
Grease Pencilオブジェクトの奥行き情報がDepth出力パスへ反映されるようになりました。(画像上)
※EEVEE限定
これにより、
- 被写界深度
- 奥行きマスク
- 距離によるエフェクト
などがGrease Pencilでも扱いやすくなります。
File Outputノードについて
- File Outputノード出力時に出力プロパティ無効化が可能に(画像下)
- 今までは動画出力時に出力プロパティ設定からも出力されていましたが、Outputプロパティにチェック欄がついて、そのチェックを外すと、Group Outputノードが接続されていても出力されなくなりました。File Outputからの出力のみを出したいときにとても便利です。
- File OutputノードにFile Extensionチェックボックスが追加されました。
- これにより、シーン全体のレンダー設定とは別に、File Outputノードごとに拡張子の扱いを設定できます。

新しいコンポジターアセット追加
Blender 5.2では、一部のコンポジターアセットがインストールされてない方は、Asset BrowserからOnline Essentialsアセットをダウンロードすることで利用できます。
画像加工・情報系ノード
- Film Grainノード
アナログフィルムのような粒子感や光学的な質感を画像に追加するノードです。フィルム種類のプリセットや細かな調整機能が用意されています。 - Night Visionノード
暗視カメラ(ナイトビジョン)風の映像表現を作るためのノードグループ - Paint Filterノード
油彩や水彩やカスタムなどアナログな描画風のエフェクトをつけるノードグループ
他にも
Exposure Visualizationノード(画像の露出状態を可視化するノード。露出オーバー(白飛び)や露出不足(黒つぶれ)している部分を強調表示し、適切な明るさになっているか確認できます。)などのノードグループがあります。

空間変換系ノード
- Screen to 3D Spaceノード
画面上の2D座標を、奥行き情報(Depth)を使って3D空間上の座標へ変換するノードです。
画面上の位置と深度から、3D空間内の位置を取得できます。- 動きに追従する背景テクスチャが作れます。画像内では、後ろが無限遠に飛んでしまうのを防ぐためにNormalizeノードをはさんでいます。
- 3D to Screen Spaceノード
3D空間上の座標を、カメラから見た2D画面上の座標へ変換するノードです。
3Dオブジェクトの位置を、画面上のどの位置に表示されるかという座標に変換できます。

ダウンロード時のエラーについて
自分はコンポジットのノードをダウンロードしようとしたら
No asset found at path “C:\Users\●●\AppData\Local\Blender Foundation\Blender\Cache\remote-assets\online-essentials\nodes\compositing_nodes_essentials_online.blend\NodeTree\Night Vision”
っていうエラーが出ました。
解決:新規で全く新しいBlenderファイル立ち上げてダウンロードしたらダウンロード出来ました。
その他の改善
以下はリリースノートを参考にしています。
- ノード実行時間を表示
Group Outputノードに、ノードツリー全体の実行時間が表示されるようになりました。重いノードグループの最適化に役立ちます。 - Levelsノードに最小値・最大値出力を追加
LevelsノードにMinimum、Maximum出力が追加されました。画像内の輝度範囲などを取得できるため、条件分岐や自動調整などへの利用が期待できます。 - Stabilize 2DノードにFrame入力を追加
Stabilize 2DノードにFrame入力が追加され、安定化処理をより柔軟に制御できるようになりました。 - SwitchノードがLazy Evaluation対応
Switchノードは、条件が固定の場合に使われない側のノードを実行しない「Lazy Evaluation(遅延評価)」へ対応しました。不要なノードの計算を省略して高速化できます。※現在は条件が固定の場合のみ対応しており、動的条件にはまだ対応していません。 - Transformノードの縮小品質が向上
TransformノードでAnisotropic Samplingが利用可能になりました。縮小時の画質が向上し、従来よりシャープできれいな結果になります。 - Dilate/Erodeノードを高速化
Distance Thresholdモードが大幅高速化。特に大きなサイズで処理速度が大きく改善され、サイズによる処理時間の増加もほぼなくなっています。さらに、小さなInset値で不要なアンチエイリアスがかからなくなりました。
そのほかにも、
- ノード値のインスペクション機能
- マスクノードから直接新規マスク作成
- レンダー領域の表示
- ピクセル単位表示
- Default Input Types対応
- Delaunay法によるマスクの高品質テッセレーション
など、多数の改善が行われています。
まとめ
Blender 5.2 LTSのコンポジターは、派手な新機能よりも作業効率や実用性を高めるアップデートが中心となっています。
特に注目したいポイントは次の4つです。
- インタラクティブコンポジターの大幅高速化
- Geometry Nodesとの連携強化
- Blank ImageやString To Imageなど新ノードの追加
- 新しいコンポジターアセット追加
普段からコンポジターを利用している方はもちろん、これからノードベースの画像編集を始める方にとっても、より快適に作業できるバージョンになっています。
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