もともとは3DCGをやりたくてBlenderを始めたのですが、最近はグリースペンシルや2DFX(手描きエフェクト)にも興味が出てきて、2Dアニメーションの基礎も勉強しています。自分自身、日本のアニメ制作の仕事を少しだけ経験したこともあり、実際にBlenderで試しながら感じたことや、2Dアニメの考え方をまとめています。
2Dと3Dのアニメーションはかなり性質が違います。3Dはモデルが常に存在しているのでポーズやタイミングを考えることが中心になりますが、2Dはまず「何をどのフレームに描くか」を考える必要があります。それでも動きやアニメのタイミング、制作の考え方についてはたくさん学ぶところがあります。
このブログはBlender中心ですが、グリースペンシルや2DFXとして活用できること、そして2Dアニメのノウハウは3Dにも応用できる部分が多いことから、2Dアニメの基本について書いています。専門的な理論解説というより、Blenderでより良いアニメを作るために、自分なりにアニメーションの基本を整理している内容です。
- アニメーションの基本知識
- アニメーション制作の基本原則
- 手を動かしてみる
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アニメーションの基本知識
フレームレートとコマ打ちの関係
まず動画は1秒間に何枚の画像を表示するかで動いて見えています。これをフレームレート(fps)と呼びます。
例えば一般的なアニメや映像では24fpsが基準になっており、1秒間に24枚の静止画が連続して表示されています。(Blenderでもデフォルトのフレームレートは24fpsになっています。)
しかし実際のアニメ制作では、この24枚すべてを毎回新しい絵にするわけではありません。ここで出てくるのが「コマ打ち(撮影コマ数)」という考え方です。
コマ打ちとは何か
コマ打ちとは、何フレームごとに新しい絵を使うかというルールです。※()内は英語圏での言い方です。
- 1コマ打ち(Ones):毎フレーム絵を変える
- 2コマ打ち(Twos):1枚の絵を2フレーム表示
- 3コマ打ち(Threes):1枚の絵を3フレーム表示

右動画は同じ動きを1コマ打ちから3コマ打ちにしています。動きがどのように見えるか見てみてください。
1コマ打ちはディズニーアニメでよくみられるような、ぬるぬるしたスムーズな動き。
2コマ、3コマになるにつれて少しカタつくようになりますが、それでも2コマくらいなら充分きちんと動いてるように見えます。
日本・海外アニメの違い
アニメのスタイルによって、コマ打ちの使い方はかなり変わります。
- 日本アニメ:2〜3コマ打ちが基本(必要な部分だけ1コマ)
- 海外カートゥーン:2コマ打ち中心
- 初期ディズニー:フルアニメーション(基本1コマ)
これは単なる技術差ではなく、何を魅力として見せたいかの違いだと思います。
海外アニメは、動きそのものを魅せる文化です。
たとえばカートゥーンでは、キャラクターが大きく変形したり、激しく動き回ったりすること自体が面白さになります。そのため、1〜2コマ打ちで滑らかに動かすことが多いです。
一方、日本アニメは絵や決めポーズを魅せる傾向が強いと感じます。ずっと動かし続けるというより、動くところと止めるところのメリハリを重視し、印象的なカットに作画コストを集中させる設計が多いです。
最近の海外作品では、こうした日本アニメ的なメリハリのある演出を取り入れた作品も増えていて、2DFXなどにもその影響を感じます。

※もちろんBlenderなど個人でもアニメが作れたりする環境が整いつつあり、形式はほんとに多様化しています。こういう形式で作らなきゃいけないなんてものはありません。
アニメーション制作の基本原則
アニメーションの12の原則という、海外アニメーターから広く支持されている動画があります。
主にカートゥーンなどの海外2Dアニメ視点ですが、日本アニメ、3DCGなどにも応用できるアニメーションについての技法・考え方をまとめている動画でオススメです。
また、リチャード・ウィリアムズ著「アニメーターズサバイバルキット」というアニメーション制作マニュアルのベストセラーの本(主に海外2Dアニメ向け)の内容も加味しながら、この動画をベースにまとめ、自分の浅い経験ではありますが、日本アニメとの違いなどについても所見をかいていこうと思います。
Squash and Stretch(潰しと伸ばし)
速度、物質の特性、勢いなどを強調するために物質が潰れたり伸びたりすること。
具体例:ボールのバウンス
地面にぶつかったときに横につぶれて、その直前と直後に縦に伸びているような演出
- 物質の特性…潰れや伸ばしの変化量が大きいほどその物質は柔らかい
- 勢い・速度…潰れや伸ばしの変化量が大きいほどキャラクターの動きに勢いがつき、印象深くなります。
注意するポイント
- 体積を一定に保つこと…上下に潰れて縦の体積が減ったなら、横に伸ばして、元の体積が増減しないようにします。
- 日本アニメではあまりやらない…ギャグシーンでもない限り、日本アニメではあまり使われません。特にキャラクターの造形が変わってしまうことが嫌われる傾向にあります。

Anticipation(先行動作)
バットをふりかぶるときはまず反対方向に振る、など、あるメインの動作の前にその準備動作を入れることです。
現実でも人間はそのように動くことが多くリアルに見えるし、次に何かが起こることを見る人に予期させることができるため、アニメーションがわかりやすくなります。
- 先行動作は逆方向へ
- 大体はジャンプをする前にかがむ、等、メインの動きの逆方向の動きを予期動作とすることが多いです。エネルギーをためて、放出するようなイメージ。
- 演出としての先行動作
- 視線を動かしてから首を動かすなど、生物として自然な動きでもありますが、次にどこを見れば良いか観客にわかりやすいよう演出としてなされることもあります
- 先行動作がないと、その動きが見逃される場合もあります。今から何かが行われることを視聴者に気づかせるため行われることもあります。

日本アニメでの先行動作を使った演出
日本のアニメでは技を出す前のポーズや先行動作の方がメインになることすらあります。かめはめ波を撃つときに構える動作や、変身するシーンなどにかなり時間を使います。結果を面白く展開していくカートゥーンと、溜めや先行動作で期待値を上げていく日本アニメの違いがあるかもしれません。(最近は混ざってきてますが)
Staging(演出)
演技・タイミング、カメラアングル、位置、画面設定全体で気を付けるもので、観客の視線をコントロールし、制御するものです。
- メインの動きはなるべく画面中央で行う
- 見せたい動きは画面の中央か画面の1/3のライン(大きさによってはその範囲)で行う
- 画面の端っこのほうで何かやられても見ている人は気づかない可能性があります、意味のある動きだと気づかれないことも
- Blenderは、カメラのオブジェクトデータプロパティ > Viewport Display > Composition Guidesにガイド線があります。
- カメラでの映し方
- 遠景で映す…アクションシーンなど、身体全体で演技をしているとき、広い範囲を映す
- 近景で映す…表情や細部を映したいとき
- 画面の間
- 右を向いてるなら右に空きスペースを作るなど
- 一方の動作が完了するまで他の動作が重ならないようにする。
- 誰かが呼びかけるような動作をしたあとで、相手は答えるようにする。動作を途中でさえぎったり、二人同時に動くとどこを見るべきか、何が起こっているかわかりにくくなる。
- 例外:ミルキー☆サブウェイなどは逆にリアルな応答感を出すために人の動作やしゃべりがよく重なっていました。
- 情報を理解させる必要があるときは止める
- かなり速い動きのときに、視聴者に起こっていることを理解してほしいときは、一時停止をする必要があるときがあります。
- 例:何かを素早く出す動きで、何かを視認してほしいときは見せるために動きを止める
- 画面にテキストが出ている場合は3回音読できるくらい停止させる。
- 舞台演出、背景などの設定
- 例えば貧しい家を描きたかったら、普通の家具や高級なものは置かない、など、ノイズになるものを置かない。目で見たらわかりやすくしておくのは大事です。
- カートゥーンだと過剰な表現をされることもありますが、日本アニメではもう少しリアルな設定が好まれる気がします。

もちろん例外もあるし、わざとセオリーを裏切った演出をするのも面白いと思います。
Straight Ahead & Pose to Pose(ストレートアヘッドとポーズトゥポーズ)
アニメーションを制作していく手法です。

Straight Ahead
最初の絵を描き、二枚目の絵を描き、三枚目の絵を描く…という、とにかく最初からどんどん次の絵を描いていく手法です。
予測不可能なアニメーションに適しています。火、水、風などのエフェクトを描くときに使われることもありますが、ある程度原画でポイントとなる形を描いて中間を割ることもあります。複雑で形が割れないときや、形の変化を自然に見せたいときに使われる手法です。
Pose to Pose
ポイントとなるポーズを描き、あとから中間の絵を作っていきます。
大体のアニメは原画などでポイントとなるポーズを描いておいて、あとから中間を動画で割ります。時間やタイミングもコントロールしやすく、日本アニメでも一般的に使われてる手法です。
それぞれのポーズの分類
- Kes(キーポーズ)
- 基本的なポーズ
- 動きの中で一番重要なポーズ
- ストーリーのためのポーズ(動きの意味、構図・感情・状態を決める、漫画で描かれるようなポーズ)
- Keys Extremes(エクストリーム)
- 動きの中で最大値・最小値のポーズ(いわば振り切れた状態)
- キーポーズの中でも特に強いポーズ
- Breakdown(ブレイクダウン)
- キーポーズ同士をつなぐ方向・軌道・中間の意味を決めるポーズ
- 動きの軌道、タイミングを決める
- In-between(インビトウィーン)
- キーポーズやブレイクダウンの間を埋める純粋な中割・動きの補間
日本でいうと、
- 原画…キーポーズ、エクストリーム、ブレイクダウン
- 動画…インビトウィーン(ブレイクダウンを動画にやらせるところもある感じ)

ちなみに完成したアニメは右の動画で見れます。ポーズを順番通りに描いただけでアニメができてきてすごい。
Straight Ahead と Pose to Poseの手法を混ぜる
- Pose to Poseでキャラクターの身体を描き、あとから付属物(髪、服など)をStraight Aheadで揺れなどを描く
- 全体のアニメの設計をしてからPose to Poseでガイドを描き、Straight Aheadで最初から自由に描く
1つ目は髪のなびきなどで結構ある手法、2つ目はデジタルだとガイドを描くのが楽になってますのでわりと取られてる手法なんじゃないかと思います。
Follow Through & Overlapping Action(フォロースルーとオーバーラップ)
本体(キャラクターの身体など)と付属物(髪、マント等)があったとき、付属物は身体の動きに最後に追いつき、慣性のままさらに進み、また戻ったりします。その移動量によって物質の柔らかさなどを表現できます。
以下の三つはどれも同じものの違う側面を説明しています。
- Follow Through(フォロースルー)
- 身体が動いたあと、髪の毛や動物なら耳などが慣性のまま動き続ける状態
- Overlapping Action(オーバーラップ)
- 本体の動作タイミングと他の部分の動作タイミングとのズレ
- Drag
- 体の各部分の動きを本体の動きに対して遅らせるテクニック
腕なども肩→肘→手などのように遅れて動きます。

Ease In & Ease Out(イーズインとイーズアウト)
大半の現象・動作はゆっくりと始まり、徐々に速度を上げてゆっくり終わるという性質を持っています。※Slow In & Slow Outとも言われる
- リニア(一定の速度)…機械的でロボットのような動きになります。
- イーズインとイーズアウト…生き物やエネルギーの充填、放出が必要な物質、自然の現象は、大体動きはじめにゆっくり始まり、中間で普通の速さで動けるようになり、終わりでまた遅くなって動作を終了します。
中割(中間の絵を作るとき)の見方
移動する人や何かの動作があった場合、動画を割ったときに絵の間隔がせまいとゆっくりになり、広いと速くなります。
つまり、生命力のあるアニメを作る場合、動きはじめや終わりの絵の間隔はせまく、中間の間隔は広くするなど、緩急をつけると効果的ということです。

Arcs(弧)
ほとんどの生物は円軌道、弧を描いて動きます。
ボールの動きのアニメを作るときに、横にバウンスしながら動くボールの中割をするとき、キーポーズの中間の位置の絵を描いても直線的な絵になりうまくいきません。その物質の特性にもよりますが、重力が働くものだったり、生き物の動きなら、中間の絵の軌道を弧を描くようにする必要があります。

生物の動きの弧は、円や八の字、波形のような動きになることもあります。
また、すごく気を付けてもなかなか弧の形にならず、中途半端な形になってしまいます。最終地点の方向にすぐ動くのではなく、横方向にもかなり動いていることがポイントです。
Secondary Action(二次動作)
メイン動作を補完し、キャラクターアニメーションに奥行を与えるためのジェスチャーです。
例:怒った人が歩いている場面
- メイン動作…歩き方、足の動き
- 二次動作…大きく振った腕、顔の表情など、怒りを表す二次的な動作
そう動作に伴う感情や、どういうシチュエーションなのかを伝える。
演技や演出ともいえる動作かもしれません。
Timing(タイミング)
中間フレームの描画枚数が少ないほど速い・多いほど遅くなります。
1コマ打ちで絵の間隔が少ない場合、遅くなる
2~3コマ打ちで絵の間隔が大きい場合、速くなる
スピードが違うことで、その動作の意味が変わってくる
具体例:歩き
- 速い動作:逃げている? 何かを発見した?
- 遅い動作:老人? ケガをしているのか?
1コマより2コマ打ちのほうがメリハリがあり、活き活きとした動きを描けるという人もいます。予算や時間の問題などもあり、一般的には1コマ打ちはあまり多くないかもしれません
極端に速い動き(強風でびゅうびゅうものがゆれてるとか、明暗が反転してピカッと一瞬光るとか)で部分的に1コマで描かれるということが多いと思います。
Exaggeration(誇張)
動作、ポーズ、表情を誇張することで、見る人へのインパクトを高めることができます。
アニメ的演出のように、あり得ないだろと思うほどその動きや動作を大げさにし、コミカルに表現することができます。(中に1コマ2コマあり得ない絵や崩した絵を入れても速い動作ならあまり気にならない)

誇張はただ歪めるのではなく、より説得力をもった表現をすることにつながります。
Solid Drawing(立体感のある描画)
形状が立体感、重み、バランスがとれており、存在感のあるように描くこと
立体感を描く
まずはきちんと立体的なものをかけること、パースがとれること、どんな角度からでも描けること(地味にこれが一番難しいんじゃないかと思うんですが…)
わかりにくい場合はシンプルな立体物(球・立方体など)で構成されたものとして考えること、表面にグリッドのような補助線を引くこと
重なりを描く
重なっている部分を作り、例えば服の袖なら、その切り口を立体的に描いてください。
奥まっている部分と出ている部分を明確にすることができます。
この重なり部分をきちんと描いて最低限の描写で立体感を出すのはアラレちゃんやドラゴンボールの鳥山明がめちゃくちゃ得意ですね。
形の非対称性
形を左右対称にしないこと。
有機物なら、腕を同じ長さの2本の直線で描くのではなく、一本を曲線にする、2本を曲線にしてずらして描く、など。
エフェクトなどでも炎や水などの形を左右対称にするのは避ける
ポーズをとるとき、対になった手足に同じ動きをさせないこと。片側に傾けたり、片手を腰にあてたりする

Appeal(印象的な見せ方)
アニメーションするキャラクターの造形を、見ていて心地良く、形状、デザイン的に魅力的で退屈しないものにする方法
- 形状の多様性
- キャラクターを作るときは、シルエットで見てもわかりやすいようにさまざまな形状のデザインにする。
- プロポーション、比率
- 特徴的な部分を強調したり、要らない部分を削除したり、特定の部位だけ大きくしたりすることでより魅力的なデザインを生み出す
- シンプルにすること
- 複雑すぎるとアニメーション化が難しい。イラストのようにしないこと。
日本アニメの場合
日本だと描線の多いイラストのようなキャラクターを動かす作品も多くてアニメーターが困ることはよくあります。また、デザインも主に目、髪型、服の形や色でデザインしている印象です。その分そこまで動き回らなかったり、イラストを魅せる設計のアニメが多いのだと思います。
(線が多いイラストのようなキャラクターをごりごり動かしたいという人が、3DCGに移行したりするかも?)
まとめ
すべてのセクションに言えることですが、個人の好みとかこだわりがあると思うので、厳密にこうしないといけないというものではなく、基本だと思っていただければいいと思います。
どうしたらいいかわからなくなったり、基準や指標がなくて困ってるときにはかなり助けになると思います。
手を動かしてみる
このブログは主にBlenderの機能を紹介しているブログなのですが、Blenderにはグリースペンシルという、最高にアニメ練習に適した機能があります。
アニメ作ってみたいなって方はぜひグリースペンシルを使ってちょっとした動きからいろいろ作ってみるとすぐに動かせるし、楽しいですよ。(ペンタブあると作れるアニメの幅がすごく広がります。)
これから基本的な動きの原則みたいなものもまとめていこうと思っていますので、また読んでいただけたら嬉しいです。
練習ですぐ使えるグリースペンシルの使い方に関する記事↓








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