ヘアーカーブでフェルト、ふわふわファー、もこもこファーの3種類のぬいぐるみを作る方法を解説するシリーズ②フェルトぬいぐるみ編です。
Blenderのヘアカーブシステムは、ジオメトリノードの設定値を変えるだけで、多様なファーを設定することができます。フェルトの毛羽立ち、やわらかいふわふわな毛質、毛が太めのもこもこした毛質の3種類を作ってみようと思っています。
今回はフェルトぬいぐるみの作り方を解説します。
この記事は、Blenderでフェルト生地のぬいぐるみの作り方を解説した中級者向けの記事です。
難易度

このクマのモデリングからやりたい方は以下の記事から読んでみてください。
身体のマテリアルをつける
まずはレンダーエンジンをCyclesにしておいてください。
目、鼻
マテリアルをつけていきます。まず目や鼻はPrincipled BSDFノードを使います。
- Base Color…黒
- Roughness…0


縫い目
縫い目もPrincipled BSDFノードを使います。
- Base Color…水色
- Roughness….7
に設定します。(色とかは好きなように設定してください。)
縫い目はジオメトリノードで作ったので、ジオメトリノード内で設定しないとマテリアルがつきません。
Group Outputノードの前にSet Materialノードをつなぎ、マテリアルを設定してください。

身体全体のマテリアル
身体全体は以下のようにノードを組みます。

Noise Textureノードを以下のように設定すると、右図のようなパターンができます。フェルト生地みたいな、繊維が絡まったような感じを表現しています。
- モード:Ridged Multifractal
- Scale…30
- Detail…15
- Roughness…1
- Lacunarity…0
- Offset…0
- Gain…1
- Distortion…7.6
カラーは青いクマにしたかったので、青い糸が絡まってるようにします。がさがさした層が見えるようにちょっと暗い色も足しています。
ボコボコさせたいので、Color Rampで左側を白にして細い糸っぽくして、Bumpノードを介してPrincipled BSDFのNormalに入力しています。BumpのStrengthは少し強めに、0.5くらいにしておきます。

Principled BSDFノードは以下のように設定します
- Roughness...1
- Sheen Weight…0.6
- Sheen Roughness…0.29
光沢なく、Sheenの数値を高くしてふわふわしている感じを出します。
口元パーツ
口元もフェルト生地にしたいので、からだにつけた青いフェルトマテリアルを複製して、色だけ変えます。
メインは白で、明るめのグレーのグラデーションを足しておきます。

からだにFurをつける
身体のオブジェクトを選択し、
Shift + A > Curve > Fur
でファーをつけます。
※ファーをつけるにはUV展開が必要になります。モデルにUVがない場合はUV展開をしておいてください。

Furをつけると、一気に身体全体に毛が生えます。
- 自動的にヘアーカーブの設定をしてくれる
- メッシュ全体にガイドカーブの毛を生やしてくれる
- 5種類のヘアーカーブ用ジオメトリノードをつけてくれる
以上の設定を自動でやってくれます。ここまでやってくれるのは本当に親切ですが、ヘアーカーブの仕組みが全然わからなくなります…。具体的にどんな設定をしているのかは以下の記事で詳細に書いていますので、詳しく知りたい方は読んでみてください。(知らないとできないわけではないです)

ジオメトリノードは毛並み・毛質の感じを変えたり、増毛、長さを変えたりできるパラメータの集まりです。モディファイアの名前左側の>のアイコンで閉じたり開いたりできます。結構パラメータが多くてメニューが長いのでこれでコンパクトにしまえます。
ジオメトリノードモディファイアの設定
レンダリングモード(Cycles)で作業した方がわかりやすいですが、毛が多量になると重くなりますので注意してください。
いらないモディファイア削除
- Hair Curves Noise
- Frizz Hair Curves
以上の2つはいらないので、右の×アイコンで削除します。

モディファイア追加
そして新しいジオメトリノードモディファイアをつけていきます。
Asset Browserを開いて、ライブラリからHairを選びます。(Hairはデフォルトでアセットがついているはずです。Blenderのバージョンが古い場合はついていないかもしれません。)
そこにヘアーカーブを調整するためのジオメトリノードのセットが入っているので、
Roll Hair Curvesを画面内の毛の部分にむけてドラッグ&ドロップします。
(たまにうまくいかなかったり、からだのメッシュについてしまうことがあります。モディファイアプロパティにRoll Hair Curvesモディファイアが追加されているか確認してください。)

次はTrim Hair Curvesをドラッグ&ドロップで追加します。

右図のようにモディファイアの順番を変更します。
- Set Hair Curve Profile
- Interpolate Hair Curves
- Trim Hair Curves
- Roll Hair Curves
- Surface Deform

Trim Hair Curvesのパラメータ設定
このノードは毛の長さを変更できます
- Length Factor 1.13
- Replace Lengthのチェックを外す
- Random Offset 0.1

Roll Hair Curvesのパラメータ設定
このノードは毛を巻いてくれます。
- Subdivision 2
- Roll Length 1m
- Rolll Radius 0.01m
- Roll Depth 1m
- Roll Taper 1
- Retain Overall Shape 0.3
- Random Orientation 1

Interpolate Hair Curvesのパラメータ設定
このノードは毛を増やしてくれるノードです。
Density 5000

Set Hair Curve Profileのパラメータ設定
このノードは毛の太さを調整できます。
Radius 0.0001m

右図のようにフェルトの毛羽立ちを表現してみました。
画像をレンダリングするとき、もっと目立たせたい、とか、毛の量を多くしたい、など調整したいときは、今まで調整してきたパラメータを変更してみてください。
それぞれのパラメータについて詳細に知りたい方は以下の記事で個別に詳しく書いています↓

口元にFurをつける
口元のオブジェクトにも同様にFurをつけていきます。また同じ設定をするのは面倒なので、設定をコピーしていきます。
口元オブジェクトを選択し、
Shift + A > Curve > Fur
でFurのヘアーカーブを追加します。

毛が口元に生えてくるので、
最初に口元の毛を選択してから、身体の毛を選択します。(体の毛がオレンジで選択されるようにする)
Ctrl + Lでメニューを出して、Copy Modifiersで、身体のファーの設定を、口元のファーにコピーします。

しかしまだうまく口元に毛が生えてません。
※うまく選択できない場合は、オブジェクトの下層に追加されたヘアーカーブがあるので、アウトライナーから選択してください。
なぜなら、Interpolate Hair Curvesのパラメータ設定で、Surfaceの設定がくまの身体メッシュのままになってるからです。

このSurfaceを口元のメッシュに直すと、きちんと口元部分に毛が生えてきます。

ヘアーカーブのマテリアル
毛の部分、ヘアーカーブオブジェクトを選択し、マテリアルをつけます。
最初は何も表示されてないので、Use Nodesにチェックをいれます。デフォルトでPrincipled BSDFがセットされます。これで毛のシェーダーノードを組んでいくことができるようになりました。
例えば身体の青いフェルトの場合、毛羽立ちのカーブにも少し青い色をつけます。
このように口元のパーツにも白い色のマテリアルなどをつけてください。

完成!
かわいいフェルト熊のぬいぐるみが完成です!
下の記事で作ったリボンをつけてみました。
フェルトらしさは、ヘアーカーブより、メッシュについてるマテリアルの色の方が重要な要素になるかもしれません。色の設定などを調節して自分が納得のいくフェルトらしさを探ってみてください!

ぬいぐるみを作ろうシリーズ記事
シリーズ第1回目
シリーズ第3回目
シリーズ第4回目







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