【Blender4.5】ポストプロセッシングパイプライン:コンポジットとシーケンサーを切り替える

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Blenderには大きく2つのポストプロセッシング(後処理)があります。Compositing(コンポジット)Sequencer(シーケンサー)です。

レイアウト画面でオブジェクトにアニメーションをつけたあと、コンポジットするのか、シーケンサー(ビデオ編集)で合成するのか、またはどちらも使用するのか切り替えるスイッチがありましたので紹介します。これらをうまく使用して動画に合わせたアニメーションを作ることも可能になります。

また、どのようなパイプラインで後処理がなされているのか把握しておかないと、コンポジットやシーケンサーを併用したい場合などにうまく機能しないことがありますので、ポストプロセッシングの使い方、流れをざっくり解説してみたいと思います。

この記事は、Blenderのポストプロセッシングのパイプライン、製作工程の話やポストプロセスの切替の仕方などを解説した中級者向けの記事です。

難易度 3.0

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Post Processing(ポストプロセッシング:後処理)とは

Blenderでアニメーションを作成する場合、ポストプロセッシング(後処理)には大きくCompositingSequencerの2種類があり、プロジェクトによってどちらか一方、または両方を組み合わせて使用します(VFXは除きます)。

❶Compositing(コンポジット)

Compositingの編集画面で作業

  • ノードをつないで映像や画像の合成・色補正・エフェクトを行う工程。
  • レンダー結果や複数のレンダーレイヤー、外部画像や動画を組み合わせられる。
  • レンダー結果の画質・演出仕上げに特化
  • 音のタイミングとは無関係に映像を仕上げるのに向く。

シーン出力について

Render Layersノードでシーンレイヤーを指定して出力することができます。

現在のシーンを出力することももちろんできます。さらにはDiffuse, Emission, 影のみのパスなど、パスごとに出力できるので、細かく合成素材を加工することができます。

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❷Sequencer(シーケンサー)

Video Editingの編集画面で作業

  • タイムライン型で、動画・画像・音声ストリップを並べたり重ねたりして編集する。
  • 音声トラックも扱えるので、BGMや効果音に合わせた映像構成が得意。
  • Compositingで加工した映像もストリップとして取り込める。
  • 「音楽先行」なワークフローだけでなく、複数カットの映像をまとめる最終編集工程としても使われる。
  • シーン上のアニメを出力したい場合、現在のシーンを出力することはできない。別のシーンを作成する必要がある。

シーン出力について

シーケンサーメニューのAddでシーンを挿入できますが、現在作業しているシーンは挿入できません。

現在作業していないシーンのみ、選択することができ、ストリップとして合成することができます。

選択したシーンでコンポジット加工している場合はコンポジット後の画像が出力されます(後述するPost ProcessingパネルでCompositeにチェックが入ってる場合:デフォルト)

シーンをストリップで追加してレンダー出力にする方法

シーンをストリップで追加するとデフォルトではSolidでプレビューが出力されています。

レンダリングするときちんとレンダリング後の見た目で出力されていますが、プレビューでもレンダリング後の出力で見たい場合は

ビデオシーケンサ―のプレビュー画面の右側
Viewタブ > Scene Strip Display > Shading

をRenderedにします。

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一般的な使われ方

  • 両方使うパターン
    映像をレンダリング → Compositingで色補正やエフェクト追加 → その映像をVSEに入れてカット編集&音声追加 → 最終出力。
    (映画・PV・CMなど、最終的な映像をまとめる工程がある場合)
  • 片方だけ使うパターン
    • Compositingのみ:単発の映像や静止画、短いアニメーションを仕上げるだけで完結。
    • Sequencerのみ:外部で作った映像素材やゲームキャプチャをBGMと編集するだけ。

最終レンダリングではなく途中の作業かもしれませんが、ディズニーとかミュージカルのような音楽にがっつり合わせた映像を作る場合は、シーケンサーなどで音楽と合わせながら映像も作ってるはず。

映像に後から音楽を合わせればいい場合はとにかく①コンポジットで映像を作る⇒②シーケンサーで音を合わせる のような作業工程になります。

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Blenderのポストプロセッシング(後処理)のパイプライン

ポストプロセッシング(Post Processing:後処理)には大きくCompositingSequencerの2種類があると言いましたが、シーン上のアニメはCompositing⇒Sequencer(別シーン)に送られて処理されるのがデフォルトの設定になっています。(※現在シーンシーケンサーで出力することはできません)

1つのBlenderファイルではこのような流れになっているのですが、各シーンの最終出力に関してはCompositing、Sequencerのどちらかにしかなりません。例えばシーケンサーに何か画像や動画を置くと、コンポジットから出力がなくなります。シーケンサーに何か画像があると、各シーンの最終出力がビデオ編集に切り替わってしまい、コンポジットのレンダーレイヤーの出力が空になってしまいます。(だからビデオ編集でシーン合成する場合は別シーンで作業する必要があります)

自分はシーケンサーで動画や画像、音声を置いてタイミングをチェックしながらアニメーションを作りたいと思ったときにこの問題にぶち当たりました。シーケンサーにストリップは置くけど、出力を切って、コンポジットからはエフェクトを出力したい…!

そんなときに、Post Processingパネルで後処理のパイプラインの切替をすることができます。

ポストプロセッシングパイプラインの切替

場所:Outputプロパティ > Post Processing

このPost Processingパネルでは、レンダー後に画像を処理するためのさまざまなオプションを設定できます。

パイプライン(Pipeline)

  • Compositing(コンポジット)
    コンポジットノードの出力をレンダーし、Compositeノードのツリーをすべての画像に適用します。Composite Outputノードに入力された画像を表示します。
  • Sequencer(シーケンサー)
    3Dシーンのアクティブカメラのビューの代わりに、ビデオシーケンスエディター(VSE)の出力をレンダーします。
    シーケンスに「シーンストリップ」が含まれている場合は、それもパイプラインの一部としてレンダーされます。
    また、Compositingも有効な場合は、シーンストリップはコンポジターの出力となります。

最終出力をどっちを使うか、またはどっちも使うかなど設定できます。デフォルトでは両方に設定されています。

どっちにもチェックが入っているときの動作

デフォルトでどっちにもチェックが入っていますが、このときの各シーンのポストプロセッシングパイプラインの動作を詳しく言うと、

  • シーケンサーに何か画像や映像があれば、最終出力はシーケンサーに切り替わる
  • シーケンサーに映像が無い場合は最終出力はコンポジットに切り替わる

という動作になっています。

切替の使用例

Video Editingのシーケンサーに音楽や動画、画像ストリップを配置したまま、シーンでアニメーションを作りコンポジット出力ができます。※音楽や音声ストリップのみならコンポジットも使えますが、動画や画像ストリップも配置したい場合です。

デフォルト設定で、同一シーン内のシーケンサに動画ストリップや画像ストリップをおくと、コンポジットの出力が空になってしまいます。

このときにPost ProcessingパネルでSequencerのチェックを外すと、最終出力がCompositingになり、コンポジットからきちんと出力されるようになります。

Connect Strips:ストリップをつなぐ

動画ストリップを置いたとき、映像ストリップを消せばコンポジット出力はできます(デフォルト設定で)。

ただ動画ストリップはチェーンのアイコンがついていて、映像と音声がつながった状態になっています。この状態はConnect Stripsといい、片方消したらどちらも消えてしまいます。Stripメニュー内のDisconnect Stripsで解除することができます。

このConnect Strips(ショートカット:Ctrl + Alt + C)はかなり便利な機能で、複数のストリップをつなぎ、同時に移動させたり、操作したりできます。

他にもストリップを1つのストリップにグルーピングできる操作もありますが、どんなストリップが連動しているのかTabで中に入らないとわからなくなってしまいます。

Connect Stripsはストリップが見えた状態のまま簡易にまとめることができる機能なのでめちゃくちゃ便利、オススメです。(音声と字幕、字幕後ろの吹き出しなどの背景など、連動して動くストリップをまとめるのに使えます)

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ストリップから出力を切り替える方法

シーンをストリップ化したときに、そのシーンの出力を操作することもできます。

シーケンスエディタの右側にあるStripタグ > Scene > Input

に出力をシーンのカメラにするかシーケンサーにするか設定できます。

  • Camera…レイアウトで作ったシーンのアニメーションが出力される(コンポジットがあれば処理された後のもの)
  • Sequencer…ビデオ編集、シーケンサーで作成されたものが出力されます。
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まとめ

Post Processingパネルで最終出力のパイプラインを制御できます。

デフォルトではBlenderは

シーンからの出力 > コンポジット出力 > シーケンサー出力

という順番で出力結果を出し、最終出力は(シーケンサーに画像があれば)シーケンサーになっています。

コンポジットやシーケンサーで作業したいけど、出力はしたくない、というときなどにPost Processingパネルでパイプラインを操作できますので使ってみてください。

シーンの使い方については以下の記事を書いていますので良ければ参考にしてみてください

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