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【Blender4.4】おいしそうなフルーツを作ろう①:ぶどう

blender

Blenderでおいしそうなフルーツを作りたくありませんか?作りたいですよね!(そしてほんとは食べたいですよね…)
でも実は、フルーツをリアルに再現しようとすると、形や質感、テクスチャが意外と複雑で、なかなか難しいものです。

すべてを完璧に作り込むのは大変なので、ポイントを絞って「どこにこだわるか」を意識すると、グッとリアルで魅力的なフルーツに近づけます。

また、見た目のおいしさを演出するテクニックも重要です。たとえば、みずみずしい質感やジューシーな果肉、鮮やかな色合いなど人がおいしそうと感じる要素には共通点があります。

そこでこのシリーズでは、リアルでジューシーなフルーツをBlenderで作るための、形とマテリアルのポイントを分かりやすく解説していきます。第一回目は「ぶどう」です。気が向いたときにこのシリーズを続けていきたいと思います。

この記事は、Blenderでおいしそうなぶどうを作るポイントを解説した中級者向けの記事です。

難易度 3.5

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今回のテーマはぶどう

ぶどうと言えばどんな種類を思い浮かべるでしょうか。サイズや色、結構いろんな種類がありますよね。

今回はとりあえず巨峰を作っていきたいと思います。

今回ぶどうはジオメトリーノードで作ったので、一つぶどうを作れば、マスカット、デラウェア…ほかにもいろんなぶどうが瞬時に作れてしまいます。

今回ぶどうを作るポイントは

  • いろんな種類が作れるぶどうジェネレータとしても機能するためのジオメトリーノード
  • ぶどうの枝付き
  • ぶどうの形
  • おいしそうなブルーム(ぶどうの白っぽい粉)

の3点です。

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❶ぶどうジェネレータ

モデリングより絶対楽!…だと思う

右図はちょっと恥ずかしいんですけど、作ってみたジェネレータのパラメータです。

枝の数、一本の枝についてるぶどうの数、マテリアル、などをオブジェクトごとに変更できるジェネレータを作成することができます。

ぶどうのような複数の似たような構造が組み合わさってるオブジェクトの場合、手でモデリングすると、細かい枝やぶどう一個一個を何個も作るか、コピペすることになってしまいます。しかも最後に全体の調整ってめんどくさいですよね。

ジオメトリーノードの場合、数値を変えることで全体の形や大きさ、ぶどうの形を全てのオブジェクトで修正することが容易です。また、完全なコントロールは出来ないのでぶどうが重なってしまうことはありますが、最終的にはメッシュに変換することもできるので微調整も可能になります。

自分はモデリングする、とか、とりあえずぶどうの実一個だけ作ってみようとかでもOKですよ。

ここで見たノードのスパゲッティは忘れよう

ここでこの図を上げたのは、大まかな構造をわかりやすく図示しようと思ったからです。

最初にこのノードの山を見ると「オエっ」ってなると思います。自分も思います。でも作ってる間は気づかないんです。ほんとに。だから大変そう…と思っても心配しないでください。

ここもこだわりたい、この機能もつけたい、とか思ってると段々膨らんでいくだけで、全部が必要なノードではないです。

できるとこからやっていけばいいのです。

全体の構造

ジオメトリーノードで作るときの構造、ポイントを以下にまとめます。

  • まずメインの枝を一本作ります。
    • ノイズテクスチャなどで曲げます。Set Spline TypeNurbsなどにするとなめらかな曲線になります。
  • 第2の枝を生やします。
    • Instance on Pointsで回転させ、なるべく枝が重ならないようにします。
  • 第3の枝を生やします。
  • ヘタ部分のオブジェクトを枝先につけます。
  • ぶどうの実のオブジェクトを枝先につけます。

それぞれの枝を全部曲げようとするとちょっと大変だったので、自分は第3の枝はただの直線で作っています。

オススメ動画

ジオメトリーノードでこのような植物のような構造物を作ったことが無い方は右に紹介しています動画を見て作ってみることをオススメします。日本語だし丁寧に解説してくれています。

これを見て実際作ってみると、この記事の内容ももっとわかりやすくなるはずです。

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❷ぶどうの枝付き

枝の付き方ですが、一番複雑なのは第2の枝です。

根本の方の枝が長く、生える角度がまっすぐで、先の方にいくほど短く曲がる角度が大きくなるようにしていきます。

※ちなみに実際のぶどうが全てこうだというわけではありません。種類によって違ったりします。ぶどうの場合枝はあまり見えないので、正確性はあまり重視していません

ちなみに右図が第2の枝Instance on PointsRotationにつながってるノードです。

まずメインの枝の周りに重ならないよう回転し、さらにその枝との間の角度をインデックスによって変化させています。

※インスタンスオブジェクトの枝の軸によって回転軸は変わってきます。

メインの枝のカーブポイントのインデックスを元に変化させるときはFloat Curveを使うと調整しやすいし、目で見てわかりやすいのでオススメです。曲線を使うことで、微妙な柔らかい形や変化も表現できます。

ちなみに重ならないように枝を回転させるには自然の植物が使ってる葉序を使っています。一応記事も書いてますので気になる方は読んでみてください。↓どっちかというと数学の話ですが…

※いろいろ言ってますが、最初はよくわかんなかったら適当でいいです。自分も最初は超適当にやってました。慣れて余裕が出てきたらだんだんできる範囲を増やしていくのがいいです。最初から完璧にやろうと思うと無理だしやめたくなってくるので。

段々枝を短くするには、Instance on PointsScaleを使って、長さの軸をインデックスを元に変化させていきます。

とにかくこのように枝をつけると、逆三角形とまでは言わないけど、下のほうにすぼまっていくようなぶどうの房の形ができます。

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❸ぶどうの形

次のポイントはぶどうの実の形です。

おいしそうなぶどうの実の形はそれぞれ理想があるかもしれませんが、自分は卵型というか、下側がちょっと膨れて、少し上下に長細い形がおいしそうだと思っています。

これをジオメトリーノードで再現するにはUV Sphereを、Z軸方向に上にいくほど、XY方向に縮小する割合を大きくすれば良いのです。

それが右図の部分です。z方向のサイズを、Map Rangeノードで、上から下まで0.8~1.0にリマップして、その数字をX、Y方向それぞれにかけます。すると、上方向ほど0.8がかけられて小さくなります。

これを基本の大きさにして、あとはInstance on PointsノードのScaleで少し上下方向に拡大するような、ランダムな大きさの幅を持たせれば、バラエティのある大きさ、形のぶどうの実が付きます。

ぶどうの実の根本のヘタは?

ちなみにヘタ部分はIco Sphereを上下方向に潰したような形をつけているだけです。細かい枝のような凹凸はマテリアルのノーマルでつけるので、特に何もしなくてもそれっぽくなります。

ぶどう同士がめり込むのを回避したい

ぶどうの実同士がめり込んでしまうのはもう仕方ないんですが、ある程度工夫はできます。

  • 枝の付いてる数、枝の長さ、ぶどうの実の数、サイズを減らす、またはバランスを変える
    • いろいろ変えてみて、ぶどうがめり込まない数値を探してみるとか
  • 枝の曲がり方、ぶどうの実がついてる角度のランダム値のSeedを変える
    • 全体の形を大きく変えることなく、ぶどうの実がめり込まないポイントを探ることができます。
  • メッシュ化して修正する
    • 最終成果物としてどうしても完璧なものを出したいときは、もうメッシュ化してめり込んだ部分を編集モードで手作業で直す、と本当にリアルにできると思います。ぶどう同士がぎゅうぎゅうにつまってる感じを再現したり。
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❹おいしそうなブルーム(ぶどうの白っぽい粉)

ぶどうの画像を見てると、霜のように白い粉っぽいものが付いてることがあります。あれはブルームといって果実が自分を守るために出す天然のワックスみたいなもので、みずみずしさや新鮮さのサインでもあります。

巨峰やデラウェアみたいに色が濃いとよく目立って、とてもおいしそうに見えますね。

マテリアルの設定では、このブルームにこだわって作り込むと、リアルでおいしそうでみずみずしい印象を与えます。

ぶどうの基本色

ノイズテクスチャでつけていますが、かなり暗めの紫から普通の紫くらいまでのグラデーションです。

結構コントラストが強いのは、ブルームが乗ることによって、このベースの色がほぼ隠れちゃって色味の違いなどがよく見えなくなるのでわざと色がよく見えるようにしているのもあります。

また、おいしそうに見せるために、色はリアルよりも少し鮮やかにすると人間の食欲を刺激します。

おいしそうに見せるポイント

色は不自然に見えない程度に鮮やかにする!

ブルーム

ブルームが一番重要なので、ちょっと詳しく解説します。

基本の色よりブルームの方がノード使ってます。ブルームにいろんなノイズテクスチャ模様を重ねて複雑さとリアリティを増していきます。

ここでポイントなのはPrincipled BSDFRoughnessSheenを使っていることです。

Roughnessで光沢がある範囲を決め、さらにそこにSheenで上に粉っぽく何かが重なったように表現することができます。(Sheenは布やフェルトのような繊維素材の毛羽立ちによる柔らかい反射や埃なども表現できます。)

Roughnessで光沢を出す部分と出さない部分の基本の範囲を決めます。(一番上のノイズです。)ブルーム部分もあるし、あまりピッカピカだと偽物っぽくなるので荒さ0は避けています。光沢部分は少し広めにとっておきます。

これはSheenで使うブルームのベースにもなります。

ブルーム用の二番目のノイズです。少しなめらかなグラデーションが見えるように足しています。

ブルーム用の三番目のつぶつぶのノイズです。

ブルームは今からかたまりそうな、やわらかそうな部分と、すでにかたまったようなつぶつぶの部分があるので、この二種類のパターンがあるとリアルな感じになると思います。

上の3つを合成して調整したSheenにつなぐノイズ。

それぞれの値を足して、最後に掛け算で濃さを調整しています。何層か重ねているので、複雑なテクスチャになっています。

全部つなぐとこうなります。

光沢でひかってる部分がブルームの下から少し覗いてる場所とか、ブルームが固まってるところと、まだうすいところなどが表現できます。

実際は結構ブルーム部分と光沢部分がぱきっと別れている画像もありますが、テクスチャはちょっと過剰に複雑に盛った方がおいしそうに見えると思います。

おいしそうに見せるポイント

果物の表面の特徴はごちゃごちゃと盛った方がいい感じに見える。

いろんなノイズテクスチャのパターンを使っていますが、そんなにまずノイズテクスチャにどんなパターンがあるかわからないよと言う方は以下の記事を見てみてください。↓

最後は自分の感性を信じましょう。自分がおいしそう、と感じるまで、テクスチャをこねくりまわして、自分の思うめちゃくちゃおいしそうなバランス、色を探ってみることが大事です。(お金がなくて食べられないときに特に力を発揮できる技です。)

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まとめ

今回ぶどうのマテリアルは、特殊なことはSheenをかまったくらいで、ノーマルも何もしてませんし、わりとシンプルな作りだと思います。

UV Sphereを出してちょっと伸ばしてぶどうの形にしてから、マテリアルをつけてみるだけでも簡単にできます。ブルームってすごい特徴的なので、すぐリアルでおいしそうにみえて楽しいですよ。

果物の中にはブルームを作るものが他にもありますので、自分の好きな果物を作ってつけてみるのも良いですよね。