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【Blender4.4】コンポジットでグリッチ表現:スキャンライン

blender

Blenderのコンポジット機能で画像・動画加工をしていきます。今回はグリッチです。

グリッチ(Glitch)とは、テレビや電子機器の不具合によって生じる映像や音声の乱れのことを指します。
元々は「一時的な故障」や「バグ」という意味で使われていた技術用語ですが、特に映像の世界では、信号エラーや読み取り不良によって画面に現れる、意図しないノイズや崩壊した画像表現を指すことが多いです。

具体的には、以下のような現象が「グリッチ」と呼ばれます:

  • 画面が激しく縦横にずれたり、分断されたように見える
  • カラーデータが壊れ、予期せぬ色や模様が表示される
  • ノイズの帯やドット、走査線のような線が表示される
  • 音声が飛んだり、ビープ音のようなノイズに変化する

こうした現象は本来は望ましくないものでしたが、現在ではその「不完全さ」や「デジタル的な崩壊美」が逆に評価され、アートや映像演出の一手法として活用されるようになっています。特に映像作品やミュージックビデオ、ゲーム、VJ表現などでは、「グリッチエフェクト」として意図的に用いられ、デジタル的で非現実的な雰囲気を演出するための手段となっています。

今回はグリッチ表現の中のスキャンライン(走査線・黒い横縞)を入れて壊していこうと思います。

ちょっとノイズなども追加しながらやっていきます。

仕上がりは右図のような感じ。最後に完成動画あります。ちゃんとノイズも動くよ

いきなりRGBのカラーズレとか難しいので、横縞からやっていきましょう。

この記事は、Blenderのグリッチエフェクト:スキャンラインの入れ方について解説した中級者向けの記事です。

難易度 3.0

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作業準備

まず適当に無料の動画を拾ってきてください。自分で撮った動画でもいいし、動画ACなどのフリー動画でいいです。

Compositingエディタでの作業

  • Compositingエディタに移動
  • Use Nodesにチェックを入れる
  • Viewerノードを追加する
  • テクスチャプロパティを開く

今回テクスチャノードをたくさん使うので、④のテクスチャプロパティでテクスチャ編集などを行います。

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横縞を作る

グラデーションテクスチャを作る

テクスチャノードを出して、Newを押し、名前をつけます。今回は「横縞」など適当につけておいてください。

どんな画像になっているかわかりやすいようにCompositeVeiwerノードにつなげてください。

テクスチャノードでテクスチャの編集をするのは画面右のテクスチャプロパティです。

  • テクスチャデータを、今のノードと同一の名前のものを選択
  • Type…Blend(グラデーション)
  • Blend > orientation …Vertical(縦方向)

に設定し、縦方向のグラデーションを作ります

複数のテクスチャパターンを作成するとき注意すること

ちなみに、テクスチャノードは作られるたびにそのノードの番号が増えていくように名前がついていきます。(Nodeタブから名前は変更可能です)

テクスチャパターンの名前欄の上にノード自体の名前があるので、ノードを変えてテクスチャを設定するときは注意してください。

以前のノードを選択したままパターンを編集すると、意図しないノードにパターンが設定されてしまいます。

縞を作る

右のようにノードをつないで縞を作ります。

  • まずグラデーションをY(縦方向)に200倍(縞の間隔調整に使う
  • SeparateXYZでY方向だけを抽出
  • Ping-Pongで縞を作る(縞の間隔調整に使う)
  • Multiplyで少し明るくします。(明るさ調整に使う

Ping-Pongノード

例えば縦が0-1の範囲だと、Ping-PongのScaleを0.5にすると、0.5で0-1,次の0.5で1-0の数値を出力するので右図のようなグラデーションができます。

合成

作った縞と動画を合成します。

Mixノードを出し、合成方法をMultiplyにします。

  • ImageにMovie Clip、
  • Imageに縞の画像

をつないで、Factorをいい感じに調整して合成します。(縞の間隔、画像の濃さ、明るさなどは上の「縞を作る」で作ったノードで調整してください)

動かす

この縞を少しチラチラ動かしてみます。

ノード構成

  1. Scene Time
  2. Multiply…20 動くスピード
  3. Truncated Modulo…10 上下する間隔のスピード
  4. Multiply…0.01 上下する幅
  5. CombineXYZ (Y)

Vectorを縞を作ったテクスチャのOffsetにつなぎます。

これでスキャンラインは完成です。次はノイズを加えてみます

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ノイズを加える

テクスチャを作る

テクスチャノードを追加します。

テクスチャプロパティでノイズテクスチャを調整し、Color Rampノードをつなげてノイズの大きさやぼやけの程度を調整します。

ノイズテクスチャの編集では、

  • Type…Voronoi
  • Voronoi > Distance Metric … Chebychew
  • Feature Weights …いい感じのノイズの大きさになるまで調整

VoronoiのSize等も調整してください

合成

今まで作ってたスキャンラインをつけた画像とノイズを合成していきます

Mixノードを出してMultiplyにする

  • Image…今まで作ってた画像
  • ノイズ画像

をつなげて、Factorは1にします。

動かす

ノイズの形を変える

ノイズの形を変えたいため、スキャンラインを動かしたアニメ用のノードを、CombineXYZZにつなげてノイズテクスチャのOffsetにつなげます。

ノイズの大きさをランダムに変える

ノイズの大きさも変えたいので、MultiplyノードをノイズテクスチャのScaleにつなげて、下の段は10くらいにしておきます。上の段は0を入れて、1フレーム目にキーフレームを打っておきます。

グラフエディタを開いて、右側Modifiersタブを開いて、Add ModifierNoiseStepped Interpolationを追加します。

(グラフが消えたら設定中のノードをクリックすれば表示されます)

ノイズの間隔や大きさをScaleStrengthなどで調整します。

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完成

これで完成です。

画像の濃さ、ノイズの大きさなど、また各自で調節してみてください。

コンポジットの結果をレンダードビューで見る方法

レイアウト画面でコンポジットした後の結果をアニメーションさせて見るには、レンダードビューアイコン右のプルダウンメニューを開き、Viewport Shadingメニュー下の

Compositor … Always

にする必要があります。

さらに大きなノイズを足せます↓