Blenderのバージョン4.4が出ました。結構嬉しい機能が追加されたので紹介と、アニメーションスロットについて使い方など書いていきたいと思います。
Blender4.4新機能・特徴
- バグ修正・ドキュメント改善により安定性と品質が改善
- Action Slotsの導入。複数の異なる種類のアニメーションを一つのアクションにまとめられる
- その他アニメーションに関わるいくつかの修正(例:グラフエディタでのノイズモディファイア改善)
- ビデオシーケンサーの改善(例:テキスト編集が画面上でできる)
- モデリングでのいくつかの改善(頂点選択・ポリゴン、エッジ溶解の挙動改善)
- スカルプトの新しいブラシ(平らにする)
- インターフェース改善(例:ウィンドウ装飾がPCのテーマカラーに沿うようになった)
- コンポジター改善(品質向上・高速化、グレアノードが進化)
青文字にしてあるのが、個人的に嬉しい改善です。もちろん全体の品質向上はめちゃくちゃ嬉しいです。PCのスペックが低いのでソフトの力で環境を改善してくれるのは素晴らしいです。
以下、気になるものだけピックアップしてちょっと詳しく紹介します
新機能ピックアップ紹介
ビデオシーケンサーのテキスト編集
この機能すごく嬉しいです。動画編集するならテキスト編集って絶対どこかで出てくるので。というかよく考えたら動画編集エディタとしては必須な機能だったのではという思いもありつつ…とにかくようやく実装されました。

というわけでTextをビデオシーケンサーに追加して、Textのストリップをクリックした状態でTabを押します。
するとテキストを画面上で打つことができました。
しかし…


Blenderって大体日本語まわりがあまりちゃんと使えるようになってなくて…。まさかの、日本語入力はできないというオチでした。
いつものように、日本語は右のテキストメニューから入力しないと文字が表示されませんでした。
無料ソフトなので、これ以上わがままを言おうという気持ちはないです。
おそらく、いつか日本語完全対応してくれると信じて待ちます。
進化したグレアノード
コンポジターから、進化したグレアノードの紹介。というより自分がどういうものか知りたかったので調べてみました。

左の図のような感じで出力が3つあります。
Image…グレア効果のかかった最終出力イメージ
Glare…グレア部分
Highlights…グレア効果をかけるベースとなる明るい部分
入力ソケットも増えて、各値パラメータも前よりわかりやすく直感的になっていると思います。
AdjustのStrengthで強さ、Saturationで彩度を変えたり、TintでGlareの色を変えたりできます。
グレアはグレア効果部分だけ抽出して加工する人も多いので、この改善でより直感的に手軽に操作できるようになったと思います。
Action Slots
今回の改善で一番大きいのが、多分このアクションスロットの導入なんだと思います。
Blenderはこれからもアニメーション機能を充実しようと考えているらしく、NLAエディタ周りで改善が進んでいくと思われますが、今回その一歩としてAction Slotsが導入されました。
以前NLAエディタの解説でシェイプキーやマテリアルのキーフレームはアクションエディタに含まれないと書いたような気がしますが、それが、今回改善されてアクションエディタで同時に編集できるようになりました。
↓以前書いたNLAエディタに関しての記事
Action Slotsの使い方

キューブとトーラスを出します。
キューブがトーラスをくぐったらキューブの色が変わるというアニメを作ります。
Dope sheetのアクションエディタを見ると、キューブのトランスフォーム(移動)のキーフレームは表示されていますが、マテリアルが変更されたキーフレームは表示されていません。
ちなみに、このアクションはCubeAction.001という名前がついています。

キューブのマテリアルの下部にAnimationというタブがあるので開くと、Shader Node Treeという項目があり、そこにマテリアル変更のアニメーションデータが入っています。
このアクション名がMaterial.004Actionとなっており、アクションエディタで見たCubeAction.001と異なっているため、違うアクションとなっています。
同一のアクションにするため、左のアイコンから、同名のアクションを探し、CubeAction.001をセットします。
アクション名に同一のものをつけることで、アニメーションデータを同じアクション内で編集できるようになります。
※下にあるShader Nodetreeとなっているものがアクションのサブセットのスロットと書かれています。マテリアル変更アニメーションはサブのアクションスロットということだと思います。
するとCubeAction.001のアクションの中にShader Nodetreeのアクションスロットが表示されるようになり、1つのアクションの中で同時に編集することができるようになります。

シェイプキーなども同様にサブのアクションスロットとしてアクションに統一することができます。動きの途中で色やシェイプキー変更などのタイミング合わせが簡単にできるようになっています。
シェイプキーやマテリアルなどのサブのアクションスロットだけでなく、他のオブジェクトも、アクション作成のさいにNewで同じ名前のアクションを選択すると、アニメーションを一つのアクション内で統合して編集できるようになります。
二つの物体がタイミングを合わせてアニメーションするときなどに使えそうです。(アニメーションささせるものが多いときなどに使った方がいいかもしれません。タイミングを合わせるオブジェクトが少ないときに、あまりアクションを統一しすぎるのも後々不都合がおきそう…?)

さらに、Actionのメニューにその他の機能も追加されています。
Merge Animation…他のオブジェクトのアニメーションをオブジェクトShift選択でアクションを統合できます。
Separate Slots…アクションスロットを分離できますが、マテリアル・シェイプキーなどのサブアクションスロットは消えてしまいます(多分)
Move Slots to new Action…分離したいアクションスロットを選択し、実行すると、新しいアクションを作成します。サブのアクションは消えません。
簡単な説明しかしてませんが、アクションスロット単位で、あるアクションに簡単に追加したり削除したりができるようになっていると思います。
まとめ
今後もどんどん、アニメーションまわりの機能が進化していきそうです。
嬉しいですが、アニメーションデータってごちゃごちゃしやすいしバグが起きそうなので、今作ると互換性あるのかとか、どのバージョンで作ろうとか、少し迷いも出てきますよね…。新しい便利機能で早く作れるようになりたい…。
個人的にはアクションスロット機能とてもわかりやすいし、これで作っていこうかなと思います。4.3でも、アクションスロットっぽいアニメーションデータの項目はあったらしいんですよね。(気付いてなかった)希望的観測ですが、アクションスロットというデータ単位で今後機能させていくようになる気がしています。
Blenderも新宿駅みたいな感じで、いつ完成するのかよくわからないですよね。でもずっと進化していってほしいです。