Blenderで揺れの物理演算を簡単にボーンに追加できるアドオン、Wiggle2の詳細な設定とベイク、レンダリングの方法などについて解説します。
インストールや基礎的な使い方については以下の記事を参照ください。
このアドオンを使ってキャラクターのボーンに揺れをつけてアニメーションを作ってみました。
揺れています。おなかの部分とかもつけたんですが、主にわかりやすいのは手とかトサカにつけたボーンですね。
この記事は、Blenderの揺れものアドオンWiggle2について設定やベイク、レンダリング方法を知りたい中級者向けの記事です。
難易度
Bone HeadとTail

ボーンにWiggle2を付けるとき、ボーンによってHeadとTailどちらがつけられるか決まっています。
トサカについたボーンのように親ボーンに接続してないボーンはHeadとTailどちらに揺れをつけるか選択できます。
身体についてるボーンのように親ボーンと接続されているボーンはTailのみに揺れをつけることができます。
Bone Head
ボーンの根本が動くので、位置が変わってバウンドするように動く
Bone Tail
ボーンの先端が回転するように揺れ動く
Wiggle2の各パラメータについて
Wiggle2で設定できるパラメータについて(以下の動画が詳しくわかりやすかったです)

Mass(質量)
複数のボーンの質量を変えると、その質量によって挙動を変えます。相対的なものなので一本変えても変化しない。
Stiff(固さ)
固さです。数値が多いほど固く、小さいほど柔らかく変形します。

Stretch(伸び)
ボーンが伸び縮みするようになります。ゴムとか伸び縮みする素材に適しています
Damp(減衰)
揺れがどのくらい減衰するか。数値が大きいとすぐに揺れが収まりますが、小さいといつまでも揺れています。

Gravity(重力)
重力を上げると下向きの力が加わるようになります。アニメーションに重みと存在感が増します

Wind(風)
Force Field(フォースフィールド)のWind(風)の力の影響を受けるようになります。Factorは影響力の強さだと思います。Wind自体の強さもあるので、双方を調節する必要があります。
Windで影響を受けるForce Fieldのオブジェクトを選択します。

Collisions(衝突)(Blender4.3ではバグります、4.4でもうまくいきませんでした)
Collisionsで選択したオブジェクトやコレクションと衝突したときにボーンが避けたり、当たったときの物理的影響が出るようになります。
髪の毛を揺らしたとき肩や顔に当たったときめりこまなくなります。
Blender4.3ではバグって動かないということがあります。4.2だとできました。うまく動かない場合はバージョンを変えてテストしてみることをオススメします。
Radius(半径)…ボーンの衝突判定の範囲を拡大します。0だとボーンの先端(or 根本)のすぐ近くにしか衝突判定がありません。メッシュがめり込まないよう調節するときに使うパラメータ。
Friction(摩擦)…当たったときの引っかかりが大きくなる。
Bounce(弾み)…当たったときに跳ね返るような動きになる。
Sticky(粘着)…当たったときにひっつくような動きになる。
Chain(鎖)…連結したボーンに使うと動きが連続的で滑らかになります。髪、ネックレス、鎖などで使うときはチェックすべき
Global Wiggle Utilities

Copy Settings to Selected
コピー先のボーン選択→Shiftでコピー元のボーン選択 してからこのボタンを押すと、コピー元のボーンにつけたWiggle2の設定をコピーできます。
(Wiggle2では複数のボーンを選択して設定をつけると全てに同じ設定が入って便利)
Select Enabled
Wiggle2の設定をつけてるボーンを自動で全選択してくれます(これものすごく便利)
Reset Physics
物理演算したデータや計算をリセットします
Loop Physics
ループのアクション時に物理演算をリセットするかしないか。
チェックをすると物理演算はキーフレーム終了後も継続される(キーフレームを1に戻すとバグったようになる)
チェックなしの場合はキーフレームが終了すると物理演算がリセットされている
Quality
ボーンの連結が長くて挙動がおかしいときはクオリティを上げることで計算が正確になるとのこと。ボーン単体や4本くらいの連結だとデフォルトの設定でもきちんと動いてくれてる
レンダリング・ベイクするとき
いよいよレンダリングしたい、となったとき。Wiggle2ではベイクしないとレンダリングはできません。まずベイクをする必要があります。
Bake Wiggle
ベイクするとNLAエディタにアクションストリップを作成できるようになります。(NLAエディタを扱えなくてもレンダリングはできますが、詳しく知りたい方は以下の記事もあります)

チェックなしでベイクするとNLAエディタにWiggleActionという揺れのみのアクションが書き出されています。このままだと揺れのみのアクションしか再生されません。
Dope SheetのAction EditorにArmatureActionというボーンにつけた動きのアクションがあるので、これもPush Downしストリップにして二つ並べて同時にアクションさせると、ビューポートで見たようにきちんと動くようになります。

Overwrite Current Action
にチェックを入れてベイクをすると、ボーンにつけたアクションと揺れを一緒にArmatureActionとして書き出してくれます。(ストリップ化はされてない)このままきちんと動きが再生されます。
Current Action to NLA
にチェックを入れてベイクをすると、動きのArmatureActionのストリップを自動で作成してくれて、揺れの動きのアクションも書き出されている(ストリップ化はされてない)のでこのままきちんと再生されます。
Preroll
ループアクションを作りたいとき、この数値を上げると自然なループアクションができるようにベイクしてくれるようです。
まとめ
かなり詳細な設定ができるのにとても簡単に実装できるので素晴らしいアドオンだと思います。手軽にいろんなものに揺れをプラスすることができそう。
また、ループアクションのための機能も充実していて、実用的だなと思いました。コリジョンでBlender4.3にバグがあるのが痛いですが…今後の改善を期待します。