この記事は、Blenderを使ってレンダリングした際に発生するバンディングを除去する方法について解説し、実際に試した結果をもとにまとめました。レンダリング時に色の段階的な変化が不自然に見えるバンディングは、特にグラデーション部分で目立つことがあります。これは、レンダリング設定や色深度の不足が原因で発生する問題です。
本記事では、Blenderの設定を使って、レンダリング後に見られるバンディングを解消するテクニックを中級者向けに紹介します。
難易度
バンディングとは?
バンディング(banding)とは、主に映像や画像のグラデーション部分で発生する縞模様のことを指します。本来滑らかに変化するはずの色や明るさが、段階的な帯のように見えてしまう現象です。
この問題は、特に低ビット深度のカラー情報を扱う場合や、圧縮によってデータが劣化した際に発生しやすくなります。例えば、空のグラデーションや照明の変化があるシーンなどで顕著に現れ、映像のクオリティを損なう原因となります。バンディングを抑えるためには、適切なカラー設定やノイズ(ディザリング)の活用、圧縮方法の工夫などが重要です。
一色のシンプルなグラデーションの動画などでは、色の変化が圧縮されバンディング(縞模様)が出てしまうことがあります。白黒グラデーションで出やすいバンディングがどのくらい出なくなるか、実験をかねていろいろやってみました。

画像(EEVEE出力 両方1920×1080)
上の画像は
サンプル数64 FFmpeg 知覚的ロスレス(Perceptually Lossless)
の設定のみで書き出した色情報の少ない動画のスクショです。(低解像度と書いてありますがピクセル数は同じです。)
下の画像は
サンプル数512 16bit PNG静止画書き出し
ビデオ編集で FFmpegロスレス書き出し
他の動画編集ソフトで 可変20Mpbs書き出し
をしたものの動画のスクショです。
まずBlenderはデフォルトでノイズが若干入っているため、きっぱりとしたバンディングは出てないものの、うっすら見える縞を消すのがかなり難易度高かったです。
やったことをメモしておきます。
バンディング対策
①色数を増やす・階調を狭める
1色の階調数が減ってしまいバンディングは起こるので、最初に色深度16bitで書き出します。
階調の幅をせばめるため若干白にグレーを混ぜましたが、元の動画の白の方がグレーだったようで、これは逆に階調を広げてしまったようでした。階調は狭めた方が良いらしいです。
②サンプル数を上げる
サンプル数は上げた方がいいとは思いますがかなり上げても色の階調が減ってしまうことでバンディングは出てしまうので、512とか1024くらいでいいかなと思いました。レンダリング時間もかかってしまうので。
③ビットレートを上げる
ロスレス書き出しがやはり一番きれいだったので、ビットレートをできるだけ高くするのは効果があると感じました。
④ノイズを加える
Post Processing のDitherを2.00にしてノイズを加えてみましたが、Blenderはデフォルトで1で多少ノイズは入っており、2にしたところであまり変わらない気がしました。
⑤圧縮率を高める
PNG書き出しのとき、圧縮率を少し高めにした方が、色調の変化をうまく圧縮してくれるかもということで50%の圧縮率でやってみましたがそんなに効果はないような気がしました。(PNGの圧縮は可逆なので最終的な出力は同じらしい)
まとめ
16bitロスレスで書き出しても、静止画の段階では完全にバンディングを取り除くことはできませんでした。コンポジットでノイズを追加することで多少の改善が見込めるかもしれませんが、根本的には、広い階調を持つ滑らかなグラデーションが出ない原因は、光源やマテリアルの色にあることがわかりました。
結局、最も効果的なのは、そもそも単調でシンプルなグラデーションを避け、絵作りの段階から階調に配慮したアプローチを心がけることだと感じました。
今回の結果には全然満足できなかったので、また良い方法を思いついたら追記したいです。