この記事では、Blenderを使って動画を書き出す際に、自分でビットレートを指定してエクスポートする方法を解説します。動画のビットレートは、最終的なファイルサイズや画質に大きく影響を与えるため、プロジェクトの要件に合わせて設定を調整することが重要です。特に、インターネットでの配信やストリーミングに向けて、適切なビットレートを選ぶことで、視聴者に最適な画質を提供しつつ、ファイルサイズを最適化することができます。
この記事では以下の内容をカバーします:
- 基本的な書き出し設定(フォーマット、エンコーディング設定)
- Blenderのレンダリング設定でビットレートを手動で指定する方法
- よく使われるビットレートの目安とその効果
動画を書き出す際の基本的な設定を理解し、ビットレートを自分のニーズに合わせて調整することで、Blenderでの動画制作がより効率的になります。また、最適なビットレートを設定することで、品質を損なうことなく、ストリーミングやファイルサイズを意識した制作が可能となります。、Blenderでの動画書き出しがより効率的になり、クオリティの高い動画制作が実現できます。
この記事は、Blenderの動画書き出し、ビットレート指定について詳しく知りたい中級者向けの記事です。
難易度
解像度とフレームレートの設定
Blenderでは、解像度とフレームレートの設定は「プロパティパネル」の「出力プロパティ」タブで行います。ここで、最終的な画像や動画のサイズ、フレームレートを指定できます。

解像度の設定
- 「Resolution X」と「Resolution Y」の数値を変更することで、画像や動画の横幅と縦幅を設定できます。
- デフォルトの設定では、一般的なHD解像度である「1920×1080ピクセル」になっています。
アスペクト比の設定
「Aspect Ratio X」と「Aspect Ratio Y」を調整することで、アスペクト比を変更できます。通常は、1:1(正方形)や16:9(ワイドスクリーン)がよく使われます。
Resolution X と Resolution Y は解像度の横と縦を設定する項目ですが、アスペクト比が合っていない場合、出力される画像や動画の形状が歪んでしまう可能性があります。
代表的な動画サイズ
- 720p・HD(1280×720)
- 1080p・フルHD・2K(1920×1080)
- 1440p(2560×1440)
- 2160p・4K(3840×2160)
- 4320p・8K(7680×4320)
YouTube動画や広報用の動画、一般的な映像コンテンツでよく使用される解像度は、1920×1080(フルHD)が主流です。
フレームレートの設定
フレームレート(Frame Rate)の設定
「Frame Rate」では、動画の場合に1秒間に表示されるフレーム数を設定できます。例えば、「24fps」「30fps」などが一般的です。フレームレートは、解像度と一緒に適切な出力設定を行うために重要です。
一般的なフレームレート基準
フレームレート (fps) | 用途 | 特徴 |
---|---|---|
24 fps | 映画、シネマ風動画 | 映画標準。自然なモーションブラー。 |
30 fps | YouTube、SNS、テレビ放送(NTSC地域) | 一般的な動画コンテンツ。自然でスムーズ。 |
60 fps | ゲーム実況、アクション動画、スポーツ映像 | 高速動きが滑らかに見える。 |
120 fps以上 | 高速撮影、スローモーション編集 | スロー再生用。通常視聴ではオーバースペック。 |
プラットフォーム別推奨フレームレート
- YouTube
- 推奨: 24, 30, 60 fps
- 用途: 通常は30 fps、ゲーム実況やアクション動画は60 fps。
- Instagram / TikTok / Facebook
- 推奨: 30 fps
- 用途: 標準のストーリーやリール動画。
後からフレームレートの変更はできるのか?

古いバージョンだとfpsを変更すると音楽だけ変更されて、動画画像はそのままスローになって引き延ばされてしまってたので、自分でスピードを調整して24fpsに合わせる必要がありましたが、
最新v4.3ではfpsを変えるだけで、速度も変わらないように調整してくれてます。(いつ改善されたかわかりません)
なので動画自体はいつでも自由にfps変更しても大丈夫だと思います。
問題は、例えばアニメをつけようとして何かキーフレームを打った場合、その位置は変わらないのでアニメーションやキーフレームを打ったタイミングはズレます。キーフレームを掴んで縮小するなど、一応対応はできるかもしれませんが面倒くさいことになりそうです。
やはり編集前にきちんとフレームレートも決定して設定しておくことは大事だと思います。
エンコーディングの設定
キーフレーム間隔
Keyframe Intervalについては以下の記事がわかりやすいです。
Youtubeなどの動画配信プラットフォームでは大体2秒。(30fpsなら60)
高画質にしたい場合は1秒(30fpsなら30)
ビットレートの設定
ビットレートは、デジタルメディアにおけるデータ転送速度を示す指標で、通常は「bps(ビット毎秒)」や「kbps(キロビット毎秒)」、「mbps(メガビット毎秒)」で表されます。ビットレートが高いほど、1秒間に転送されるデータ量が多くなり、映像や音声の品質が高くなります。
例えば、動画の場合、ビットレートが高いと画質が鮮明になり、細かいディテールや色の変化がよりリアルに再現されます。しかし、その分ファイルサイズも大きくなるため、適切なビットレートを選ぶことが重要です。
ビットレートの重要性
- 高ビットレート: 高い画質や音質を維持できますが、ファイルサイズが大きくなり、ストレージや転送速度に影響を与える可能性があります。
- 低ビットレート: ファイルサイズが小さくなりますが、画質や音質が劣化する可能性があります。
動画の書き出し時にビットレートを調整することで、品質とファイルサイズのバランスを取ることができます。

Encodingのタブ内、Output QualityをConstant BitrateにするとBitrateの設定ができるようになります。
Constant Bitrate(固定ビットレート)と書いてありますが、設定によって可変にすることもできます。
Bitrate…平均ビットレート
Minimum…最小ビットレート
Maximum…最大ビットレート
Buffer…動画エンコーディングやストリーミングの際に、データがスムーズに処理されるように一時的にデータを格納しておくためのメモリ領域(最大値2000)
例えば8Mbpsの固定ビットレートにしたい場合は平均、最小、最大ビットレートも8000にします。可変にしたいときは平均を8000にして最小値と最大値にそれより小さい値、大きい値を入れておきます。
ちなみにちゃんと設定してもきっかり8Mbpsになることはなく、7Mbpsくらいになったりします。上限のように振舞うらしいので、きちんと精度を求めるならロスレス書き出しして他の動画編集ソフトで調整した方が良いです。
解像度 | 動きの少ない映像 | 動きの多い映像 |
---|---|---|
SD(720×480px) | 500kps~1Mbps | 1Mbps~2Mbps |
HD(1280×720px) | 2.4Mbps~4.5Mbps | 4.5Mbps~9Mbps |
フルHD(1920×1080px) | 4.5Mbps~9Mbps | 9Mbps~18Mbps |
4K(4096×2160px) | 25Mbps~35Mbps | 35Mbps~70Mbps |
Audioの設定
音声を動画に含める際に、設定すべき項目について。設定内容は音質やファイルサイズに影響するので、目的に合わせて調整が必要です。
1. Audio Codec(音声コーデック)
音声コーデックは、音声を圧縮するための形式。以下のコーデックが一般的に使用されます。
- AAC(Advanced Audio Codec): 高音質で圧縮効率が良い、現在最も一般的なコーデックです。ほとんどのデバイスや動画プラットフォームでサポートされています。
- MP3: 古い形式ですが、依然として広く使用されています。音質はAACより劣りますが、互換性が高いです。
推奨設定:
- AAC(音質が高く、広く対応しているため)
2. Audio Channels(音声チャンネル)
音声チャンネルは、音の出力方法を示します。
- モノラル(Mono): 音声が1チャンネル。主に1つのスピーカーでの音声再生に使用。
- ステレオ(Stereo): 2つのチャンネル。通常の音声再生で使われ、広がりのある音になります。
- サラウンド(5.1など): 複数のチャンネルを使用し、より豊かな音空間を作り出します。
推奨設定:
- Stereo(ステレオ):通常、音声はステレオが一般的で、広く使用されているため。
3. Sample Rate(サンプルレート)
サンプルレートは音声の品質を決定する指標で、1秒間に何回音をサンプリングするかを示します。
- 44.1kHz: CD音質。標準的なサンプルレート。
- 48kHz: 動画や映画制作に多く使われる標準サンプルレート。映像と音声の同期を取るのに適しています。
推奨設定:
- 48kHz(映像との同期が取れやすく、動画用の標準サンプルレート)
4. Bitrate(音声ビットレート)
音声のビットレートは、音声データの圧縮率と音質に影響します。ビットレートが高いほど、音質も良くなりますが、ファイルサイズも大きくなります。
- 128 kbps: 一般的な音質で、音楽やナレーションには十分。
- 192 kbps: より良い音質で、多くのストリーミングサービスでも一般的に使用されます。
- 256 kbps: 高音質な音声に適しています。
- 320 kbps: 最も高音質の音声、特に音楽に向いています。
推奨設定:
- 192 kbps – 256 kbps(音質とファイルサイズのバランスが良い)
5. Volume(音量)
音量設定は、音声の大きさを調整するためのオプションです。通常、音声のレベルはオーディオのミキシング時に調整されますが、出力時にも調整できます。
- Volume: 音量の調整。通常、動画の音量は録音時に適切に調整されますが、動画全体の音量レベルを微調整する場合に使用します。
推奨設定:
- 通常、Volumeは変更せず、元の音量を維持。音量が適切でない場合のみ調整します。
音声設定についてのまとめ
音声設定についての推奨値は以下の通りです:
- Audio Codec: AAC(高音質で広くサポートされている)
- Audio Channels: Stereo(標準の音声設定)
- Sample Rate: 48 kHz(映像との同期に適している)
- Bitrate: 192 kbps – 256 kbps(音質とファイルサイズのバランスが良い)
- Volume: 変更なし(元の音量で問題ない場合)
まとめ
この記事では、Blenderでの動画書き出しに必要な基本的な設定項目について、解像度、フレームレート、エンコード、ビットレート、音声設定などを解説しました。それぞれの設定を適切に行うことで、最終的な動画品質を高め、目的に応じた出力が可能になります。特に、解像度とフレームレートは動画の見た目に大きく影響しますし、ビットレートと音声設定も品質に関わる重要な要素です。
また、これらの設定を理解し、最適なビットレートやエンコード方式を選ぶことで、ファイルサイズと品質のバランスを取ることができます。最終的には、自分の目的に合わせて柔軟に設定を調整することが求められます。
Blenderは動画編集ソフトとしてどうなのか?
Blenderは主に3Dモデリングやアニメーション制作のツールとして知られていますが、動画編集機能(VSE:Video Sequence Editor)も搭載しています。VSEを使えば、基本的な動画編集やエフェクトの追加、カット編集などが可能です。しかし、専用の動画編集ソフト(例:Adobe Premiere ProやDaVinci Resolve)と比較すると、Blenderの動画編集機能は特に高度な編集やプロフェッショナルなワークフローには向いていない部分もあります。
それでも、Blenderを使えば、3DアニメーションやVFXを含む動画編集が一元的に行えるという大きな利点があります。特に、3D要素を組み込んだアニメーションを作成する際には、Blenderの強力なツール群が役立ちます。したがって、Blenderは動画編集ソフトとしても非常に優れた選択肢ですが、専門的な編集作業が求められる場合は、他の専用ソフトを併用するのが良いでしょう。