この記事では、BlenderのEmissionシェーダーについて詳しく解説します。Emissionシェーダーは、シーン内で光を放つオブジェクトを作るために使用するシェーダーで、自己発光するオブジェクトを作りたいときに非常に便利です。例えば、ライト、ディスプレイ、ネオンのような光源を作成する際に使われます。Emissionシェーダーは、通常のマテリアルと異なり、実際に光をシーンに発生させることはありませんが、レンダリング時にはそのオブジェクトが光っているように見せることができます。
このシェーダーの使い方、設定方法、そして効果的に使うためのテクニックを理解することで、よりリアルで魅力的なシーンを作成できます。また、レンダリングエンジン(CyclesやEevee)での挙動の違いにも触れ、適切なシーン設計ができるようになります。
Blenderは4.2くらいからか、レンダーに関する設定がいろいろと変更になりました。今回は最新の放射の設定の仕方についても書いているので、うまく光らない!と言う方は読んでみてください。
この記事は、BlenderのEmission(放射)シェーダーについて詳しく知りたい初心者向けの記事です。
難易度
Principled BSDFのEmissionとEmissionノードの違い
Blenderで放射表現をするには、Principled BSDFノードのEmissionとEmissionノードの二つの方法があります。
Principled BSDFノードのEmission
Principled BSDFノード下のEmissionタブの中にあります。
- Color(色)
- Strength(発光の強さ)
を調整できます。
物理的にリアルな発光が必要な場合や他の材質(屈折や反射したような物質)と組み合わせたい場合に使います。
BaseColorや他の材質を設定すると、発光する色に影響します。

Emissionノード
シンプルな発光を目的とする場合に便利で、Mix Shaderなどを使って他のシェーダーと簡単に組み合わせることができます。
- Color(色)
- Strength(発光の強さ)
を調整できます。

違い
Principled BSDFノードのEmission

スザンヌの形がよく見える。白っぽくなる
Emissionノード

フラットな光り方をする。色が鮮やか
ただ発光させたい場合はあまり違いはありません。シンプルに使えるのはEmissionノードです。設定項目がColor(色)とStrength(発光の強さ)しかないので初心者には使いやすいです。
基本的なノードの設定
Emissionのパラメータには主に以下の2つがあります。
- Color (色)
発光する色を設定します。RGBカラーを使って、どんな色で発光するかを選べます。例えば、赤や青、黄色など、お好みの色に設定できます。 - Strength (発光の強さ)
発光の強さを設定します。値を大きくすると、発光の明るさが強くなり、シーン全体に影響を与える光の強さが増します。デフォルトは1で、これを上げることでより強い発光を得られます。
Color

Strength

これらの2つのパラメータを調整することで、発光するオブジェクトの色と明るさをコントロールできます。
EEVEEでのEmission(放射)の使い方
光ってない…!?
まずオブジェクトを出して、マテリアルを作って適用してみます。
デフォルトの状態では、EEVEEでは右図のようになり、あまり光っているようには見えません。

ビューポート上で光らせる
画面上やレンダリング結果で光らせるにはコンポジットでグレア効果をつける必要があります。(Blenderの旧バージョンではレンダープロパティにBloomという項目があり、チェックをすれば光らせることができましたが、最近のバージョンではコンポジットでの作業が必要です。)
- 上部メニューのCompositingタブへ移動する
- Use Nodesにチェックする
- Render LayersノードのRenderボタンをクリックして今の画面をレンダリングする(カメラの位置を調節してください)
- Viewerノードを出します(後ろにプレビューが出ます)
- Glareノードを出して右図のようにつなぐ

Glareノードの設定
- Glare Type(光の形)…Bloomにしてください(Fog Glowでも可)
- Strength …発光の強さ
- Saturation …発光の鮮やかさ
- Tint …光の色
- Size …発光のサイズ
※Glareノードは4.4で仕様が変更されました。4.3以前を使っている方はGlare Typeなどは変わってないのでBloomに変更してみてください。

レイアウト画面での設定
Compositeで効果をつけても、それはレイアウト画面上では見えていないので、コンポジットの効果を表示できるようにする必要があります。
Layoutタブから元の画面に戻ります。
マテリアルビューorレンダービューにして、右の下向き三角のプルダウンメニューからViewport Shadingのメニューを開きます。
Compositerの設定をAlwaysにするとコンポジット効果が表示されて光るようになります。

周囲への放射の影響
現段階では、光ってはいるけど周囲のオブジェクトに影響していません。
Eeveeはリアルタイムレンダリングエンジンであるため、レンダリング速度を重視しており、簡易化されたシミュレーションを使用しています。そのため、Emissionノードを使って発光するオブジェクトが周囲に与える影響(光の反射や間接光)は、Eeveeではデフォルトでは表現されません。

間接光の反射や拡散、さらに発光した光の影響を正確にシミュレートするためには、レイトレーシングを使用する必要があります。(※Cyclesの場合はパストレーシングを行っています)
Eeveeで間接光の反射や拡散、さらに発光した光の影響それを再現するためには、レンダープロパティパネルの中のRaytracingにチェックする必要があります。
これでEEVEEでも放射の光で発光し、周囲の環境へも影響するようになりました。

CyclesでのEmission(放射)の使い方
Cyclesでマテリアルをつけただけの状態では、発光の効果がついていません。
ただ、周囲のオブジェクトが赤く光るなど、周辺環境への光の影響(パストレーシング)がデフォルトで機能しています。

コンポジットでグレア効果をつける
Cyclesでも発光させるにはコンポジットでの作業が必要になります。
コンポジットでGlareノードを出し、発光させます。
※この作業はEEVEEと同様なので、詳しくはEEVEEの項目を参照してください。

ビューポート上でコンポジット効果を表示し、光らせる設定もEEVEEのときと同様です。
Compositerの設定をAlwaysにします。
Cyclesで発光させることができました。

まとめ
EEVEEでの放射
マテリアルでEmissionノードをつないでオブジェクトに適用する
それだけでは光らないのでコンポジット画面に行きGlareノードで発光させる

ビューポートで光らせるため、Compositorの設定をAlwaysにする
周囲へ影響させるため、Raytracingにチェックをする

Cyclesはraytracingの欄がなく、チェックをつける必要はありません。コンポジットだけEEVEEと同様に作業する必要があるだけです。