植物を作るときに迷いがちな葉の付き方について、自分なりのベストプラクティスとその理由をまとめました。
葉序とは
葉序とは、植物における葉の付き方や配置の様式のことです。
※Blenderなどで植物を作成する際に「それっぽく」見せるために葉序について学んでいます。専門的な解説が必要な方は、別の専門的な記事をご覧ください。ここでは自分の理解に基づいた解説をしていますので、間違っている可能性もあります。

さて、葉序にはいろいろなタイプがありますが、特に気になるのは「互生の螺旋葉序」。葉と葉の間隔をどのくらいに設定すべきかという問題です。
葉序が黄金角に近づくとは
現実の植物は、葉が日光に当たりやすいように、葉序を黄金角(螺旋葉序の場合)に近づけることが多いと言われています。それでは、そもそも「葉序が黄金角に近づく」とはどういう意味でしょうか?

自然の植物を観察すると、葉序のパターンは次のようなフィボナッチ数列に従って現れることが多いです。
1/2、1/3、2/5、3/8、5/13、8/21…
これらは、1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21…というフィボナッチ数列の分数部分を指します。なぜフィボナッチ数列に従うのか?例えば、この数が大きくなると、葉が互いにかぶらず、より多くの日光を浴びることができます。おそらく、こうした「機能的な配置」が自然界では選ばれているのです。
89/223 → つまり89週する間に223枚の葉がかぶらない!!たくさんの日光を浴びることができる、やったね!ということじゃないでしょうか。多分そう。
Blenderで植物を作成する場合、葉をインスタンスとして配置するとき、どうやって回転(rotation)を設定するかが問題です。インデックスやランダムな値で回転させることもできますが、葉序に基づいた最適な配置をしたいと思っています。そこで、自分なりのベストプラクティスを考えてみました!
黄金角とは
まず、黄金角について簡単に説明します。黄金角は、黄金比に基づいて360度を分割した角度です。
黄金比とはフィボナッチ数列(1、1、2、3、5、8、13、21、…)の項を一つ前の項で割った数が次第に収束していく比率で、無理数の1.618…となります。
2÷1 =2
3÷2 =1.5
5÷3 =1.667
…
これを∞項までやると出てくる比率が黄金比1.618…という無理数φです
そして黄金角とは360度を1:φで分割した1側の角度です。数値としては約137.5°らしいです。意外にφ側の角度ではないんですね。

葉序と黄金角のつながり
ではさっきの葉序1/2、1/3、2/5、3/8、5/13、8/21…
とフィボナッチ数列1、1、2、3、5、8、13、21、…
と黄金角360×1÷(1+φ)のつながりを見てみましょう。
例えば葉序2/5のとき、角度を出す計算は360×2/5となります。この2/5の葉序の部分が黄金角を出すときの1/(1+φ)に収束していくという話なんですね。

ここで上の図のように分子の数を1に合わせると分母にフィボナッチ数がでてくるようになります。この葉序の項数を∞に近づけると(lim n → ∞)さきほどの黄金角を出した比が出てきます。ここで葉序と黄金角、フィボナッチ数、黄金比が全てつながりました!!
そもそも∞枚の葉っぱがついてる植物なんてないけれど、これでもし、∞枚葉がついていてもどの葉っぱも日光に浴びることができる機能性抜群の植物を作ることが可能です!
blenderでの実装

葉の配置には、インスタンスの回転を使います。この際、インデックスを参照して回転させることができます。ここで入る数値はラジアンなので、indexで0,1,2,3…と入っていくと1ラジアン(約57.3°)入ってしまっているので、黄金角約137.5°を1ラジアン分の約57.3°で割った比率をかけると、インデックス順に黄金角に従った葉序を設定できます。
葉の数が少なくても多くても、バランスよく配置できるので便利な方法です。ただし、簡単にするために2.4倍で調整しても問題ないかもしれません。
一応他の数値もみておきます。

これはただのindex番号をラジアンとしていれているだけです。57°くらいの間隔なので詰まってる感じになりますね。葉の枚数によってはバランスが悪くなるかもしれません

これはランダムです。数値は0~tau(360°)をいれています。かなり重なっていてバランスが悪いです。
とは言っても自然界にはこの機序がなかったり、ずれたり、いろいろな植物がありますので、好きなようにすればいいと思います。葉の大きさも線形ではなく二次か三次曲線のようになっていた方がいいからとスケールするときにeを累乗したりする方もいらっしゃいますが、自分はここまで考えるとキャパオーバーしてしまうので、細かいことは無視する胆力を身に着けたいとおもっています(笑)。
3DCGをやっていると、このようないろいろな計算や自然の不思議さに触れることができておもしろいと日々実感します。これらのようなことも造形の楽しさの一環として、今後も(できる範囲で)自然や物理や数学の面白さを発見していきたいです。